個人年金保険の税金はどうなる? 受取の注意点を解説

生命保険

個人年金保険の年金等を受取った時にどのような税金がかかるのか、その仕組みや注意点についてまとめています。

個人年金保険の年金に税金はかかる?

年金を受取った時に対象となる税金は「所得税・住民税」です。

また契約者と受取人が異なると贈与税も対象になります。

さらに、受取人が亡くなると相続税を考える必要があります。

受取る年金の種類

年金の種類について整理します。

確定年金

被保険者の生死にかかわらず一定期間(10年・15年等)受取れます。

終身年金

被保険者が生きている限り年金を受取れます。

生死にかかわらず年金を受取れる期間 (保証期間)があるものと、この期間が無いものがあります。
※ほとんどの年金保険がこの2タイプです。
※被保険者:保険の対象となる人(生死によって年金・給付金等が支払われます)

年金にかかる税金の具体例

契約者(保険料負担者)が年金を受取る場合

「所得税・住民税」の対象となります。

受け取る年金の内の自分が支払った分を超える部分が雑所得として課税対象となります。一括受取すると同じ「所得税・住民税」でも計算方法が異なることがあります。

注)「契約者=受取人」になっていても保険料を他の方が支払った場合は課税上「保険料負担者を契約者」とみなします。

毎年受取る年金の税金

受取年金額から必要経費(支払保険料にあたる部分)を差引いて課税所得を計算します。

(受取年金額)-(必要経費※)=課税所得額
※必要経費=①受取年金額×(②支払った保険料の総額÷③年金の受取見込総額)

(例)
①受取年金額   年額30万円
②保険料支払総額 月払保険料1万円×240回(20年)=240万円
③受取見込総額  年額30万円×10年 =300万円

受取年金額30万円-必要経費24万円=6万円
課税所得額6万円×税率=税額
※必要経費=30万円×(80% ⇐ 240÷300万円)=24万円

必要経費の割合を公式な用語ではありませんが以下で「必要経費割合」と呼びます。

年金開始後は配当金が加わるなど1年目と2年目以降の年金額が異なる場合がありますが「必要経費割合」は1年目で固定され2年目以降同じ割合を使います。

終身年金等の計算
(例)は確定年金で計算しましたが終身年金でも基本は同じです。

しかし終身年金では実際に何年受け取れるかが受取1年目にはわかりませんので「平均余命」等を計算上使います。

また年金額が一定の割合で増える(逓増年金)場合は増加分を計算に取込むことが必要になります。

それらの要素を計算して年金開始1年目に「必要経費割合」を出し、以降はそれを使います。

数学の話のようになってしまうので計算は省略しますが、年金を受取った翌年1月頃に保険会社から申告に必要な内容の通知が来ます。

これを見て申告して頂ければ大丈夫です。
※平均余命:各年齢からの平均生存年数(平均寿命は0歳からの平均余命)

年金を一括受取した場合

確定年金や終身年金の保障期間部分の一括受取ができる場合があります。

【受取方法】
①一部受取り(例えば残り7年分の内3年分)
②全額受取り(残り期間分全額)

2つの受取り方法は税金の計算方法が異なります。

①は年金で受け取るのと同じ雑所得となります。
②は「一時所得」といって所得税・住民税の対象ですが計算方法が違います。

(例)
一括受取額    300万円 (比較のために同じ金額で計算します)
「必要経費割合」 80%   (雑所得・一時所得で共通です)

①雑所得 :300万円-(240万円 ⇐300万円×80%)=60万円 ←雑所得
→60万円が課税所得です。

②一時所得:300万円-(240万円 ⇐300万円×80%)=60万円
『60万円-(特別控除50万円)』    =10万円 ←一時所得
→10万円(一時所得)×1/2=5万円が課税所得(一時所得の1/2)

一時所得は50万円の特別控除があり、さらに1/2にしか課税されないため、雑所得に比べて課税所得が少なくなります。

このため一部受取を繰返した場合にも一時所得とすると年金で受取る場合との差が著しいため「全額受取」の場合だけ解約と同じ一時所得として扱われます。
※特別控除はその年の全ての一時所得を通じ50万円が限度です。

所得税がかからない場合
個人年金の税制ではありませんが、「公的年金の収入金額が400万円以下で、かつ公的年金以外の所得が20万円以下であるときは所得税の確定申告書を提出する必要がない」ことになっています。

公的年金400万円以下の納税は源泉徴収で足りており、その他20万円は少額として免除する趣旨です。

ただし、住民税は課税対象です。各市区町村に住民税用の申告書を提出します(郵送での取寄・提出可)。

源泉徴収
個人年金の雑所得額25万円以上は10.21%(含復興特別所得税)が源泉徴収されます。

この場合、確定申告すれば還付が受けられる場合がありますので確認することをお勧めします。

契約者(保険料負担者)以外が年金を受取る場合

①受取開始時に年金を受取る権利が贈与税の対象になります。
②毎年の年金は雑所得として所得税・住民税の対象となります。

年金開始時(贈与税)

年金を受取る権利を贈与されたものとして贈与税の対象になります。

【贈与税は年金を受取る権利の相続税評価額】
次のいずれか大きい金額
①解約返戻金の金額
②年金の一括受取ができる場合はその金額
③保険会社所定の利率で計算した受取見込総額の現在価値

趣旨は「3通りの方法で年金の現在価値を計算し、その中の大きい金額で課税します」というものです。

①解約返戻金はほとんどの場合②一時金と同じか大きくなります。

③は保険会社でないと計算できませんが、解約返戻金を概算の目安としてよいでしょう。

【贈与税の計算方法】
次のように計算します。

贈与税額=課税価格×税率-控除額

基礎控除(110万円)控除後の課税価格[万円]税率[%]控除額[万円]
200以下10
300 〃1510
400 〃2025
600 〃3065
以下省略

受取年金の税金(所得税・住民税)

贈与税では「年金の評価額=現在価値」が税金の対象でした。

年金を受取った時は、贈与で受取った年金の現在価値を元本とみて、運用で元本を増やしながら年金を受取り、この増えた部分を課税対象として、そこから「必要経費(支払保険料にあたる部分)」を引いた額が雑所得として課税所得となります。

【イメージ図】

1年目は運用する期間がないため課税部分はありません。2年目から雑所得が発生します。

トータルで「年金見込総額-贈与税評価額」となるように計算の基本になる「1単位」の額が計算され、1年目は0単位・2年目は1単位分・3年目は2単位分と1単位ずつ課税対象額が増えていきます。
※毎年の申告額は保険会社から年金受取の翌年1月頃にお知らせがあります。

(計算例)
雑所得額=(課税対象額)-(必要経費)

支払保険料総額   :240万円
年金見込総額    :30万円×10年=300万円
必要経費割合    :240万円÷300万円=80%
1単位の金額     :533円 ※計算省略
2年目の年金雑所得  :533円×(2年-1)=533円-(533円×80%)=106円 ←雑所得
※円未満の端数切捨て

相続税が対象となる場合

受取人が亡くなり継続して年金を受取る時は、贈与と同じく「権利の評価額」で相続税を計算します。

相続後年金を受取る場合も贈与税の場合と同じく雑所得として計算します。計算方法も同じです。

まとめ

年金にかかる税金には今回のケースの他にもさまざまなケースがあります。

契約形態や受取り方でもかかってくる税金が違ってくることもありますので上手に情報収集して活用することが大切です。

執筆者

吉野 紀幸(ファイナンシャルプランナー)

1987年大学卒業後、生命保険会社に入社。24年間の勤務の間に代理店営業部門、営業所長等を経験。2011年代理店として独立し税務・法務の知識を活用して法人分野(経営者保険・福利厚生制度のプランニング等)や相続・事業承継分野を中心に活動し現在に至る。活動エリアは九州を中心に関西、首都圏等。
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