個人年金保険の加入率はどのくらい? 契約の必要性は?

生命保険

平均寿命は年々延びており、人生100年時代が到来しています。

社会人になってから働いた時間と、定年後の自由時間は同じくらいになると言われていますが、皆さんはどんなセカンドライフを送りたいでしょうか?

生命保険文化センターがおこなった意識調査によると、夫婦2人でゆとりあるセカンドライフを送るための費用として、最低限の日常生活費以外に必要と考える金額は平均14万円/月となっています。

使途は、「旅行やレジャー」が最も高く60.7%、次いで「趣味や教養」(51.1%)、「日常生活費の充実」(49.6%)、「身内とのつきあい」(48.8%)、「耐久消費財の買い替え」(30.0%)、「子供や孫への資金援助」(22.4%)と続いています。

こうした費用を賄うには、公的年金(国民年金や厚生年金など)だけでは残念ながら不十分です。自助努力で備える手段のひとつ、個人年金保険について見ていきましょう。

参照:(公財)生命保険文化センター「生活保障に関する調査/令和元年度」老後保障
https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r1/p080-118.pdf

個人年金保険の加入状況

ここでいう個人年金保険とは、民間生命保険会社の個人年金保険、変額個人年金保険、かんぽ生命の個人年金保険、簡保の年金保険、JAの年金共済、全労災の年金共済を指します。これらの加入状況は以下のようになっています。

加入率の統計

令和元年度の加入率は21.7%、性別でみると男性が21.5%、女性が21.8%となっています。

なお、平成28年度は21.4%、平成25年度は20.6%、平成22年度は20.3%、平成19年度は21.0%、平成16年度は17.3%です。

概ね5人に1人程度の加入率ですが、直近10年間は右肩上がりに増えています。

また性別・年齢別にみると、20歳代は男性が13.2%・女性が12.2%、30歳代は男性が23.3%・女性が20.4%、40歳代は男性が24.6%・女性が20.7%、50歳代は男性が27.8%・女性が30.3%となっており、50歳代が最も高くなっています。

参照:(公財)生命保険文化センター「生活保障に関する調査/令和元年度」老後保障
https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r1/p080-118.pdf

給付期間の統計

世帯主・配偶者別の給付期間は以下の通りです。

5年間 10年間 15年間 終身
世帯主 7.2% 43.1% 9.2% 17.8%
配偶者 4.8% 32.2% 5.9% 9.0%

参照:(公財)生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」生命保険の加入実態
https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf

そもそも個人年金保険とは?

個人年金保険とは、払い込んだ保険料を積み立て、契約時に定めた年齢から年金を受け取るものです。

年金の受け取り期間は、契約時に定めた5年・10年・15年など一定期間のものや、生存している限り受け取ることが出来る終身年金などがあります。

また、払い込む保険料は円建てやドル建てがあり、積み立てた保険料が運用されるものや、配当金を受け取れるプランもあります。

個人年金保険のメリットとデメリット

次に個人年金保険のメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット

個人年金保険料の所得控除を受けられることが最大のメリットです。

平成24年1月1日以降に契約したもの(新個人年金保険料控除)と、平成23年12月31日以前に契約したもの(旧個人年金保険料控除)では控除額の取り扱いが異なります。

新個人年金保険料控除

年間の支払保険料等 控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下 支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

旧個人年金保険料控除

年間の支払保険料等 控除額
25,000円以下 支払保険料等の全額
25,000円超 50,000円以下 支払保険料等×1/2+12,500円
50,000円超 100,000円以下 支払保険料等×1/4+25,000円
100,000円超 一律50,000円

なお、控除対象となる契約には次の条件を満たす必要があります。

  • 年金の受取人は、保険料の支払者またはその配偶者となっている契約であること
  • 保険料は、年金の支払いを受けるまでに10年以上の期間に渡って定期的に支払う契約であること
  • 年金の支払いは、年金受取人の年齢が満60歳になってから10年以上の定期または終身であること

デメリット

デメリットとしては、大きく次の2点が挙げられます。

一つ目は、利率が変動しないタイプの場合、契約時の予定利率が低いと将来のインフレに対応できず、実質目減りしてしまう可能性がある点です。

もう一つは、解約控除などにより、保険料を一定期間以上払い込まないと中途解約をした場合に元本割れを起こすことがある点です。

他の資産やローンとのバランスや、中長期に渡って支払っていくことが出来るかをしっかり見極めてから加入するようにしましょう。

個人年金保険以外の利用できる私的年金

他にも自分年金作りに適した金融商品が色々ありますが、ここでは以下の2つをご紹介します。

積立定期

毎月あらかじめ指定した日に、指定金額を普通預金口座から自動的に振り替えて積み立てていくものです。

運用方法は金融機関によって扱いが異なりますが、毎回の積み立て毎に期日指定定期預金やスーパー定期で預かってくれるタイプや、指定のタイミングでまとめて定期預金にするタイプなどがあります。

適用される利率も単利計算となるところと、複利計算となるところなど様々です。

月々の金額は数百円~1000円から設定可能な金融機関が多く、ボーナス日にあわせて増額月を指定することも出来るなど、自分のペースで積み立てていくことが可能です。

また、1年経過以降であればいつでも払い戻しが可能ですが、一括払い戻しとなるところや、一部払い戻しが可能なところがあります。

このように商品内容が各金融機関によって異なりますので、詳しくは商品概要などを店頭でご確認下さい。

個人型確定拠出年金

イデコ(iDeCo)の略称で呼ばれる私的年金制度です。

自分で設定した掛金を、自分で選んだ運用商品(定期預金、保険商品、投資信託)で掛金を運用し、60歳以降に掛金とその運用益との合計額をもとに給付を受け取ることができます。

様々な税制優遇があり、掛金の拠出時には全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となります。

受け取る際は年金として受給する場合は公的年金等控除、一時金として受給する場合は退職所得控除が受けられます。

ただし、掛金の拠出には働き方や加入の年金制度により、以下の通り限度額があります。

  • 自営業者等:68,000円/月 ※国民年金基金の掛金、または国民年金の付加保険料との合算額
  • 勤務先に企業年金が無い会社員:23,000円/月
  • 企業型確定拠出年金に加入している会社員:20,000円/月
  • 確定給付企業年金と企業型確定拠出年金に加入している会社員:12,000円/月
  • 公務員の加入者:12,000円/月
  • 専業主婦(夫):23,000円/月

また、拠出した金額とその運用益は、60歳になるまでは原則として引き出すことが出来ないので注意が必要です。

まとめ

充実したセカンドライフのために若いうちからコツコツと積み立てたいところですが、商品によっては中途解約をすると損失が出ることがありますし、そもそも中途解約が出来ないものもあります。

人生においてセカンドライフよりも先に訪れるイベント(結婚・出産・住宅購入、車など耐久消費財の購入、教育費など)についても準備しておく必要がありますから、まずはライフプランを立てて、いつどれくらいのお金が必要になるのかをしっかり把握した上で、自分に適した商品を使って積み立てを始めましょう。

執筆者

鷹尾 和哉(ファイナンシャルプランナー)

2000年大学卒業後、大手システム開発会社に入社しインターネットバンキングなどの開発に従事。自身のライフプランを立てたことがきっかけでFPの資格を取得、その後外資系保険会社に転職し、約300世帯のライフプランを任される。よりお客様に寄り添った提案がしたいと2012年に現職へ。家計や保険の見直し、相続、資産運用などの個人相談業務を数多く行っており、個別の資金計画がとてもわかりやすいと好評を得ている。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士AFP資格トータル・ライフ・コンサルタント
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