FPが解説! 払済保険の仕組みや特徴

生命保険

長引く超低金利の影響で預貯金だけでは不安だと言われる方も多い世の中、お子様の学資目的や老後の備えに向けて貯蓄型保険の人気は相変わらず高いですが、この商品には知っておいてほしい機能がいくつかあります。

保険料の支払いが難しくなったときの対応策として「払済保険」というのもそのひとつですが、ご存じでない方も多いようです。

そこでこの払済保険の特徴やメリット・デメリットを解説します。

払済保険とは

まず、「払済保険」について、簡単に説明します。

払済とは、保険契約は解約せずに保険料の支払いをストップする手続きのひとつです。

保険料の支払いが負担になってしまった場合、解約してしまうと保障もなくなってしまいます。支払いは厳しいが保障は必要、といった場合に、保障を継続してもらうためにこのような制度があります。

払済保険の仕組み

この保険の仕組みは、「保険料の支払いを止めて」・「保険は解約せずに」・「保障期間を変えず」・「保障金額を減らす」というものです。


     
(例)
30歳の時60歳満期で保険金1000万円の養老保険に加入したが、45歳の時に払済保険に変更して保険料の支払いをストップした結果、保障期間・満期はそれまでと変わらず60歳までで、保険金が500万円に減額された。

これは、30歳から45歳までに支払った保険料で積み立てられた解約返戻金を基に、払済後の保険金額を設定しなおすというもので、以後の保険料を払わずに負担を減らして保障を残せる仕組みになります。

これがもし終身保険で払済を行った場合は、その時点で設定された保険金額が一生涯続きます。

払済保険の特徴

非常に便利な機能ですが、払済保険にはいくつか特徴があります。

1)解約返戻金がある保険商品であること

上でお話ししたように、変更する時点でたまっている解約返戻金を基に以後の保険金額を設定しなおす仕組みの為、主に終身保険や養老保険などの貯蓄性保険が対象になります。解約返戻金があるタイプの一部の定期保険でもできる可能性があります。

逆に解約返戻金がない、いわゆる掛け捨てと言われるタイプの死亡保険や医療保険では払済にできません。

また、終身保険や養老保険でも、加入期間が短く解約返戻金が貯まっていない状況では同様に払済保険には変更できません。

2)払済後解約返戻金が増えていく

変更時点でたまっている解約返戻金は、保険会社が一定の利率で運用していきます。その為、解約返戻金が増えていくことになるので資産形成にも活用できるケースもあります。

払済保険を活用するケース

ではどのような場合に払済に変更することが考えられるでしょうか。
代表的な例をいくつか挙げていきます。

収入・支出の状況の変化で保険料の支払いが厳しくなった場合

上記でお話したケースですが、このパターンが最初に考えられます。

例えば、先の例の養老保険に加入した時点では独身で保険料はそれほど負担ではなかったが、その後結婚やお子様の成長に伴って教育資金に回さなければならない、親の介護の為仕事を休職・退職せざるを得なくなってしまって収入が減ってしまった等、収入と支出のバランスが崩れた場合この方法は非常に効果的です。

資産運用として

主に貯蓄性を考えて満期金を目的に養老保険に加入したが、他に有利な貯蓄商品を見つけたので切り替えたい。しかし解約すると今までの保険料を割り込んでしまう……という場合に、目減りすることを防ぐ場合にもこの方法が良く取られます。

払済保険にした場合の具体例

では具体的にどの保険でどのような効果があるかを見ていきましょう。

終身保険の場合

(例)30歳の時60歳払込終了で保険金1000万円の終身保険に加入したが、50歳の時に払済保険に変更して保険料の支払いをストップした結果、保険金は500万円になったが保障は一生涯続く。

この場合では、保険料の負担を減らすということもありますが、家族構成が変わって(お子様の独立等)保障がそれほど要らなくなった時でも活用できますので、無駄を省くことができるメリットがあります。

養老保険の場合

(例)30歳の時60歳満期で保険金1000万円の養老保険に加入したが、45歳の時に払済保険に変更して保険料の支払いをストップした結果、保障期間・満期はそれまでと変わらず60歳までで、保険金が500万円にとなった。

養老保険の場合、45歳の時点で解約をしてしまうと解約返戻金は支払総額を大きく下回ってしまう可能性がありますが、払済保険に変更することで保障も継続でき、そのリスクを回避することができます。

個人年金保険の場合

(例)30歳の時65歳満期で受取年金額120万円・10年確定年金の個人年金保険に加入したが、50歳の時に払済保険に変更した結果、年金受け取り開始は65歳で変わらないが受取年金額は60万円に変わった。

個人年金保険の場合も同様で、50歳の時点で解約をしてしまうと解約返戻金は支払総額を大きく下回ってしまう可能性がありますが、払済保険に変更することでそのリスクを回避することができます。

払済保険のメリット・デメリット

便利な機能の払済保険ですが、メリット・デメリット共あります。それぞれをまとめていますのでご覧ください。

メリット

1)払済に変更後保険料は不要で保障は残る

最も大きなメリットはこの部分になります。

保険料が家計に占める割合が高くなってしまうと皆さん解約を考えますが、解約してしまうと保障がなくなってしまいます。

そのような時はすぐに解約せずこの方法があることを覚えておいてください。

2)解約返戻金が増える

払済にした後も保険会社で運用されるため、終身保険や養老保険では解約返戻金が増加しますので、有効な資産運用法になります。

3)変更後元に戻すこともできる

払済変更後元の契約内容に戻すことを「復旧」と言います。

「あの時は保険料の負担が厳しかったので払済にしたが、今は問題ないから元に戻したい」という場合は一定の手続きを経れば元に戻すことができます。

ただし、いつでも復旧が出来る訳ではありません。3ヵ月以内など、期限あるケースも多いので、手続き前に保険会社へしっかり確認をしておきましょう。

告知や診査なしで手続きができる

払済保険に変更した後に復旧する場合は告知や診査等お体に関する手続きが必要になりますが、払済保険に変更する際にはそのような煩わしい手続きは不要です。

したがって、保険料の負担や資産運用についてお考えの場合は一つの選択肢としてお考え下さい。

デメリット

1)払済後保障は減る

変更時にたまっている解約返戻金が基になるため、加入当初の保障額と比べて保障は減ります。保障額が必要な場合は後述の「延長保険」の方が有利です。

2)特約がなくなる

払済に変更すると、加入時に付けていた特約は、基本的には消滅してしまいます。
もし払済後も持ち続けたい特約がある場合、変更は慎重に検討しなければなりません。

3)「復旧」のための手続きが煩雑

元の契約内容に戻す「復旧」をするためには、再度健康面の告知や積立金の不足分の保険料を追加で入金する必要があるため手続きが煩雑です。
このこともよく検討する必要があります。

4)払済保険への変更が出来ないケース

保険の加入時に、特別条件付承諾により契約が成立している場合、この払済保険への変更が出来ないケースもあるので注意しておきましょう。

払済保険にすると損をする可能性が高い保険の種類

ここまでは払済保険に変更することのメリット・デメリットについてお話ししてきましたが、あまり向いていない、もしくはタイミングを考慮する必要があるものについてお話しします。

解約返戻金が低い保険

いままでお話ししてきましたように、払済保険に変更するには解約返戻金が相当額たまっていることが条件になりますが、終身保険等には「低解約返戻金型」というものがあります。

これは、払込が完了する前の解約には返戻金を抑えるというものですが、払済にも適用されます。

保険会社にもよりますが、低解約返戻金型の場合、そうでないタイプの終身保険の返戻金のおよそ7割程度に抑えられているものが良く見られます。

したがって解約返戻金が低い状態での変更になりますので、思っていたよりも保障額・解約返戻金ともに少なくなる可能性がありますので注意してください。

変額保険

変額保険は、保険料の一部を特別勘定で運用して満期保険金・解約返戻金をより殖やす仕組みのものです。

この保険を払済保険とした場合、その時点での運用の結果次第で払済後の保険金額等が増減する可能性があります。

やむおえず、運用の成果が悪い時期に、払済保険への変更をせねばならない状況であれば、保険金等が思ったより少なくなる場合もあるので注意が必要です。

商品によっては、払済保険への変更後も特別勘定での運用となるケースもあります。

払済保険以外に保険料の負担を軽くする方法

保険料が負担になってきた場合に、今回の払済保険以外にも「解約」・「減額」・「延長保険」の3つの方法があります。

このうち、「延長保険」は「払済保険」に似ているので、詳しくご説明します。

延長保険

払済保険は「保険料の支払いを止めて」・「保険は解約せずに」・「保障期間を変えず」・「保障金額を減らす」という仕組みですが、延長保険は「保険料の支払いを止めて」・「保険は解約せずに」・「保障金額を変えず」・「保障期間を短くする」というものです。

言葉から保険が「延長」できるイメージですが、一般的に延長保険に変更後保障期間は短くなります。

(例)
30歳の時60歳満期で保険金1000万円の養老保険に加入したが、45歳の時に延長保険に変更して保険料の支払いをストップした結果、保障金額は変わらず満期が60歳から50歳に短縮された。

どちらを選択するかの基準としては、資産運用重視か保障重視かによって「払済保険」にするか「延長保険」にするか決めることになります。

まとめ

保険に加入する時、どなたも将来のこと・家計の中での保険料の負担のことを真剣に考えます。しかし、未来は考えていた通りになることばかりではありません。

その時に、如何に融通が利くか・状況に合わせて内容を見直せるかという部分が大きなポイントになります。そして今回の払済保険もその一つです。

保険は経済的な安心を得るための大きなツールですが、その使い方は様々です。

是非皆さんがそのツールをうまく使いこなすことができるようになればと強く願います。

執筆者

武宮 英樹(ファイナンシャルプランナー)

1994年大学卒業後、医療機器商社へ入社。開業コンサルタントとして、ドクター・薬剤師の方々の独立支援に一貫して従事。13年間、そこで培った医療法人の経営、医療関連の知識、そして長きに渡る実父母の介護、様々な経験より、ファイナンシャルプランナーへの道へ導かれる。2007年、外資系生命保険会社に転職。更に飛躍すべく2014年より現職へ。「知っているのと知らないのとでは大違い」を合言葉に、「リスクマネジメント」と「資産形成の必要性」を一人でも多くのクライアントへ伝えることをモットーとしている。
■保持資格:トータル・ライフ・コンサルタント
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