貯蓄型保険は加入すべき? メリットとデメリットを徹底解説

生活

貯蓄といいますと、日本人はまず始めに「銀行」を思い浮かべる方が多いと思います。

では、「貯蓄=資産形成」と考えた場合はどうでしょう。私は常々、資産形成を考える上で大切なことは、「期間」と「目的」、とお会いした方やセミナーへいらしていただいた方へ伝えております。

日本には金融機関が大きく3つあります。

「銀行」のほかに、「保険会社」と「証券会社」です。それぞれ、どれが良い、悪いではなく、それぞれのメリット・デメリットがありますので、資産形成の「期間」と「目的」に合わせて、どの金融機関、どの商品を選ぶのかを考える必要があります。

保険商品には貯蓄型があることをご存じの方も多いと思います。今回は、どういった場合に貯蓄型保険を選ぶと良いのか、特徴やメリット・デメリットについて解説します。

貯蓄型保険とは?

本来、保険は、亡くなった、寝たきりなど重い障害を負ったなど万が一の場合に、保険金を受け取るために加入することが主な目的となりますが、このような万が一の保障と合わせて、積み立て機能も兼ね備え、満期保険金や解約返戻金としてもお金を受け取ることができる商品を貯蓄型保険といいます。

具体的な商品でいいますと、終身保険、養老保険、学資保険、個人年金保険などがそれに該当します。

最近ですと、円の運用環境の悪化(金利や国債利回り低下など)もあり、商品の多彩化が進み、外貨建て保険や変額保険(投資信託で運用)なども多く出ております。

貯蓄型保険のメリット

まずは、こういった貯蓄型保険のメリットは何なのか、見ていきたいと思います。

保障としての活用(保険料よりも受け取る保険金が多くなる)

保険の最大のメリットは、なんと言っても保障が付いてくる、つまり、万が一の場合の経済的レバレッジです。

生命保険商品では、万が一の場合には、払い込んだ保険料よりも多くのお金を保障(保険金)として受け取ることができます。

貯蓄型であっても、「保険」と謳っている以上は、ここが最大のメリットと言えるでしょう。

万が一というものは、いつ起きるかわかりません。

もちろん、起きてしまったときに銀行預金が潤沢にあれば、それで良いと思いますが、ほとんどの方はいつでも潤沢に預貯金がキープされているわけではないと思います。

保険の保障機能があることで、例え、加入した直後であっても万一があれば、保険金を受け取ることができる。保障機能と貯蓄機能を併せ持つことができるのです。

ただ、例外的に「個人年金保険」は上記のような保障機能はなく、万一あった場合でもそれまでに払い込んだ保険料に応じた死亡給付金を受け取ることになるのでご注意ください。

計画的に資金の積み立てができる

貯蓄が得意な方、苦手な方を比べた時に、

  • Aさん(貯蓄が得意な方):収入 - 貯蓄 = 支出
  • Bさん(貯蓄が苦手な方):収入 - 支出 = 貯蓄

ということを言えると思います。

保険は契約時に、保険料の金額や払い込み期間、そして満期日や満期保険金額、もしくは、解約返戻金がいつ、いくらになるかなど明確に分かるものが多いので、計画的な積み立てが可能です。

また加入後には月払や年払の形で保険料を定期的に支払っていくことになりますので、この面でも、とても計画的に積み立て(資産形成)をすることができます。

無計画に、月末にお金が余ったから貯蓄するという貯蓄が苦手なBさんタイプの方には、特に向いている資産形成方法かもしれません。

貯蓄型保険のデメリット

すべての金融商品にはメリットがあれば、その裏側にはデメリットがありますので、続いて貯蓄型保険のデメリットを見ていきたいと思います。

元本割れになる場合がある

保険で積み立てを行う場合の注意点は、短期の使用目的には向かないことです。

銀行であれば、毎月1万円を1年間積み立てれば12万円貯まりますが、保険の場合、早期解約しますと元本割れどころか、ほとんど返ってこないこともあります。

理由としては、保険関係費として実際万一が起きてしまった人への保険金支払いや保険会社の運営コストが発生するからです。

保険で積み立てを行う場合には、一定期間、継続することを前提に考え、教育資金や住宅ローンの繰り上げ返済資金、老後資金など長期視点で計画的に実行していくことが求められます。その間、その資金の流動性は失われますので、その点も十分に注意しましょう。

保険料が高額になりがち

保険金額を確保する上で、掛け捨て型保険と比べてどうしても保険料は高くなりがちです。同じ1000万円の死亡保障を確保しようと思ったら、何倍もの保険料を払う必要があります。当たり前です。その分、積み立てられているのですから。

掛け捨てが勿体ないから積み立て型が良いと思われる方は多いと思いますが、掛け捨ては掛け捨てで、少ないコストで大きな保障を得ることができるメリットがあります。

ご自身の保険料に掛けることができる予算を中・長期視点で捉え、必要保障額を確保することも重視したうえで、いくら貯蓄型保険に回せるか、判断していきましょう。

固定金利タイプはインフレリスクがある

上記でも述べてきたように、貯蓄型保険は長期視点が必要です。将来的にインフレ(物価上昇に伴う、相対的な通貨価値の下落)となった場合、保険金額が確定している分、想定していた価値としてお金を受けることができない可能性があります。

例えば、自分の老後資金に30年後1000万円貯まるよう積み立てを開始しても、世の中の物価が2倍になったら、お金の価値は半分になります。

今の物価で1000万円で買えるものも、30年後には2000万円出さないと買えないことになります。

この点においては、銀行預金も同じことが言えます。銀行は元本保証されているから安心と考える方は多いですが、長期視点で考えた時には、必ずしも安心とは言い切れません。

銀行で1000万円という数値的な単位は、30年経っても守られますが、価値が守られるわけではありません。インフレに弱いという意味では、銀行も一緒です。

この観点からすると、貯蓄型保険の中でも、積立利率変動型や外貨建て保険、変額保険など、よりインフレに強いとされる商品も検討されることをおススメします。

一方では、インフレに弱い商品は、デフレ(物価下落に伴う、通貨価値の上昇)には強いという見方もあります。未来のことは、その時になってみないと分かりません。

どちらに転んでも対応できるようにするには資産の分散が一番の回避策と思います。

貯蓄型保険を選ぶポイント

では、最後は商品選びする時のポイントを見ていきましょう。

「期間」と「目的」で選ぶ

冒頭にお話しした通り、経済的準備を進める上で大切なのは、「期間」と「目的」です。その保障、もしくは積み立てたお金は、いつ、どんな時のために必要なのか?
それにより、選ぶ商品が変わってきます。

子どもを授かり、教育資金を準備したいとなれば、一般的には高校入学や大学入学に向けた期間として15年後、18年後となり、目指す金額は、例えば入学費と1年~2年分の授業料などとなります。

住宅ローンの繰り上げ返済資金を貯めるのであれば、住宅ローン減税の還付期間を考慮し、10年後や13年後となり、保険料の目安は、還付期間に受けることのできる還付金などでしょう。

老後であれば、ご自身の年齢から65歳や70歳になる年齢を目指して期間を設定し、「老後に必要な生活費の総額」から、ご自身が当てにできる老齢年金や退職金を差し引いた金額が目標金額となるでしょう。

運用も考慮する場合、どこまでリスクを取れるかも、この「期間」と「目的」に寄ってきますので、ライフプランをお作りになると良い目安になります。

返戻率を見て選ぶ

返戻率とは、支払った保険料の総額と満期や解約時の返戻金総額の比率を指します。

返戻率 = 受取る保険金総額(満期保険金や解約返戻金)÷ 支払った保険料総額 × 100

折角なら、返戻率の高い商品を選びたいのは自然な流れであり、その方がより効率的な資産形成をすることができます。

返戻率を上げる方法として、保険料の払込期間を10年払など短くすることで上げることができます。また、手元資金に余裕のある人は、一時払・一括払も良い手段です。

外貨建て保険や変額保険ですと、為替の影響や運用実績により実質的な返戻率は変化するため、設計書上の返戻率は参考値となりますので、見た目の率の良さだけで判断されず、リスクもしっかり理解した上で選びましょう。

まとめ

資産形成の方法はいろいろあります。

最近の流行ですと、つみたてNISAやiDeCoも長期視点での資産形成に向いています。ただ、どの金融商品にもメリット、デメリットは必ずありますので、改めて「期間」と「目的」を見据えて、ご自身に合った商品を選んでください。

執筆者

杉村 和哉(ファイナンシャルプランナー)

東京都杉並区で生まれ、幼少期をニューヨークで過ごし、帰国後は茨城の大自然で育つ。2人の娘の父親。メーカーの国際営業として社会人をスタートしたが、人生をより豊かにしたいと金融の勉強を独学で始め、30代後半で大手外資系金融へ移り、FP資格を取得。大手ハウスメーカー提携FPとして、住宅購入資金・返済計画の個別相談を受けつつ、ライフプランをもとに教育、老後、将来の夢の実現に向け、経済的解決策をアドバイス。『話す』より『聴く』をモットーに、延べ1,000世帯以上をコンサルティング。趣味は、学生時代より30年以上続けるバンド演奏、キャンプやトレッキングなどアウトドア活動、ヨガなど。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士AFP資格相続診断士
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