収入保障保険の保険金にかかる税金ってどんなもの?

生活

収入保障保険は、保険金を年金形式で受取る保険です。
万一の場合や年金を受取った際に税金がかかるのか、どのような税金がかかるのかをまとめています。

収入保障保険とは

収入保障保険は被保険者(保険の対象者)が亡くなった場合に受取人に年金が支払われます。
保険期間65歳・年金月額15万円・40歳(男性)で亡くなった場合は次の年金が支払われます。

月額15万円×12ヵ月×(65歳-40歳=25年)= 年金受取総額4,500万円

受取方法は年金で受取る他に一時金でも受取ることができます。
この場合年金受取総額を一定の利率で割引きます。保険商品によって割引率が違うため年金受取総額が同じでも一時金の受取額が違う場合があります。

【イメージ図】

収入保障保険の受け取り方と税金の種類

収入保障保険を年金で受取る場合は相続税と所得税・住民税の対象となり、一時金で受取る場合は相続税の対象となります。

以下では次の契約形態を前提に計算を進めます。

被保険者:夫 ・ 契約者:夫 ・ 年金(保険金)受取人:妻

※契約者≠被保険者の場合は受取人が契約者の場合は所得税、契約者以外であれば贈与税の対象となります。
多くの場合税負担が大きくなるため一般的には選ばない契約形態です。

年金として受け取る場合

具体例の設定

年金で受取る場合は「亡くなった時に相続税」「年金受取時に所得税・住民税」の対象となります。
具体例に沿って見て行きます。

【具体例】
被保険者  :夫 ・ 契約者:夫
年金受取人:妻
子供    :長男・長女の2人
遺産    :現金500万円・持家(土地 時価2,000万円・建物 固定資産税評価額500万円)

- 契約内容 -
年金月額15万円 ・ 保険期間65歳満了
被保険者40歳の時に相続発生
年金受取総額4,500万円 ⇒ 一時金で受取った場合の受取額 4,395万円

相続税の計算方法

相続税の計算は①課税対象となる財産の総額(課税価格の合計額)を計算し②次に相続税の総額を計算します②さらに、その総額を実際に各人(妻・子2人)が相続した課税価格の割合で割振るという順番で計算し③最後に各相続人について税額軽減や控除制度を適用して一人ひとりの納税額を計算します。
※相続税の総額は「課税価格の合計額」「基礎控除額」「法定相続人数」「法定相続割合」を使って計算します。実際の相続割合に関らず「法定相続割合」で計算するため相続割合が決まっていない段階で計算することができます。

【1 課税価格の合計額】
相続税法が定めた財産の評価方法を使ってそれぞれの財産を評価(課税価格の計算)して、これを合計します。

【一覧表】

生命保険現金不動産合計
時価4,395万円500万円2,500万円7,395万円
相続税の課税価格2,895万円500万円820万円4,215万円

※4,215万円 ⇒ 課税価格の合計額

- それぞれの財産の評価方法 -
1 生命保険の評価方法
課税価格 = (相続税法24条の評価額) - (保険金の非課税額)
2,895万円 =   一時金受取額4,395円   -  保険金の非課税額1,500
※一時金受取額を評価額としています。

相続税法24条の評価額
次のいずれか大きい金額
A解約返戻金額
B一括受取の場合の一時金受取額
C保険会社所定の利率で計算した現在価値
Aは無いか少額です。CはBの一時金受取額に近い額と考えられます。
※保険会社からの通知で確認できます。

保険金の非課税額:500万円×法定相続人数 ⇒ 500万円×3人(妻・子2人)=1,500万円

※法定相続人数には相続放棄した方も含めます。
※法定相続人が受取った場合に適用されます。1人が全額を受取っても上記の額が適用されます。
※相続放棄した方には適用されません。

2 現金  ⇒ 500万円

3 土地の評価額は実勢の8割程度が目安とされ、また宅地は一定の条件で一般の相続税評価額の2割評価です。建物は固定資産税評価額です。

土地(2,000万円×80%×20%=320万円)+建物500万円=820万円

【2 相続税額の総額】
相続税の総額は課税対象額に一定の方法で税率をかけて計算します。

課税対象額=課税価格の合計額4,215万円 - 基礎控除4,800万円
基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人数
※法定相続人数には相続放棄した方も含めます。

控除額が課税価格の合計額を超えるためこの事例では相続税は課税されません。
⇒ ここで終わるとつまらないので課税価格の合計額8,000万円として計算を進めてみます
8,000万円 - (基礎控除)4,800万円  =3,200万円
3,200万円×1/2(妻の法定相続割合)    =1,600万円×相続税率 ⇒ 190万円
3,200万円×1/4(子1人の法定相続割合)= 800万円×相続税率 ⇒  80万円
3,200万円×1/4(子1人の法定相続割合)= 800万円×相続税率 ⇒  80万円
相続税の総額=190万円+80万円+80万円 ⇒ 350万円

【3 各人の納税額】
計算方法 ⇒ 相続総額×各人が相続した課税価格の割合
妻が8割・子1割ずつ相続した場合
妻:350万円×80%=280万円
子:350万円×10%= 35万円
子:350万円×10%= 35万円

【4 税額軽減や控除制度を適用して実際の納税額を計算】
次のような制度があります。
□配偶者の税額軽減:16,000万円までは非課税でこれを超えても法定相続割合までは非課税
□未成年者控除   :子が満20歳に達するまでの1年につき10万円
※子供が10歳であれば10万円×10年=100万円
その他、障害者控除・贈与税額控除・相次相続控除・相続時精算課税制度に係る贈与税額の控除があります。

上の例では、お子様の年齢が16歳以下であれば妻・子供ともに納税は発生しません。また、妻がすべての財産を相続した場合も納税は発生しません。

所得税・住民税の計算方法

年金を受取った場合には所得税・住民税の対象です。
年金を受取った時は、相続で受取った年金の現在価値(具体例では4,395万円)を元本とみて運用で元本を増やしながら年金を受取り、この増えた部分を課税対象として、そこから必要経費(支払保険料分)を引いた額が雑所得となります。

【イメージ図】

1年目は運用する期間がないため雑所得はありません。2年目から雑所得が発生します。
課税対象のトータルが「年金見込総額-相続税評価額」となるように基本になる「1単位」の額を計算し1年目は0単位・2年目は1単位・3年目は2単位と1単位ずつ課税対象部分が増えます。
※保険会社から通知が来ます。

雑所得額=(課税対象部分)-(必要経費)
支払保険料      :120万円 ※30~40歳まで月額1万円
年金見込総額    :4,500万円
一時金受取額    :4,395万円
必要経費割合    :120万円÷4,500万円=0.03  ※小数点3位以下切上
1単位の金額     :3,000円 ※計算を省略します。

【雑所得額の計算例】
2年目: 3,000円 (1単位)-(3,000円×0.03) =  2,910円 ←雑所得額
25年目:72,000円(24単位)-(72,000円×0.03)= 69,840円 ←雑所得額

他に所得がなければ所得税の基礎控除35万円の範囲内となります。
また所得が給与・退職所得・遺族年金の場合はその他の所得金額が20万円までは所得税の申告義務がなく非課税です。(住民税は非課税ではありません)

一時金として受け取る場合

一時金として受け取る場合は相続税の対象となります。
計算方法は「年金で受け取る場合」の相続税の計算方法と同じですが評価額が一時金受取額になります。
具体例で一時金の額4,395万円を評価額として計算していますので計算結果は同じになります。

まとめ

収入保障保険は財産の状況や収入状況によって実際の課税が発生しない場合もあります。検討にあたって保険会社の方や代理店にアドバイスを受ければより内容が分かりやすくなるでしょう。

執筆者

吉野 紀幸(ファイナンシャルプランナー)

1987年大学卒業後、生命保険会社に入社。24年間の勤務の間に代理店営業部門、営業所長等を経験。2011年代理店として独立し税務・法務の知識を活用して法人分野(経営者保険・福利厚生制度のプランニング等)や相続・事業承継分野を中心に活動し現在に至る。活動エリアは九州を中心に関西、首都圏等。
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