老後の資金っていくら必要なの? FPが必要額を解説

生活

人生100年時代と言われて久しいですが、年金生活を迎えるまでにどれくらいの預貯金があればよいのでしょうか?
一生涯において大きくお金がかかるものとしては、教育資金・住宅資金がありますが、これに老後にかかる資金を加えて、人生三大費用とも呼ばれています。
定年後に入ってくるお金や出ていくお金を想定しておき、安心して老後を迎えるための準備を考えていきましょう。

老後のための貯金とは

そもそも定年後の収入の柱となる老齢年金は、いくらもらえるのでしょうか?

厚生年金保険の老齢年金受給者の平均年金月額は14万7,240円、同じく国民年金の老齢年金受給者の平均年金月額は5万5,572円となっています。(政府統計の総合窓口:https://www.e-stat.go.jp/  厚生年金保険・国民年金事業の概況(平成30年1月現在)より)

逆に、想定される支出として最低限押さえておくべき項目としては、大きく以下の2つが挙げられます。

生活水準の維持

「ご飯はいつまで食べますか?」と訊かれて、「70歳まで!」なんて答える方はいないですよね。

若いころと同様に、生きている限り衣・食・住の費用は必ずかかります。

また、年金生活になったからと言って、急に従来の生活水準を引き下げることは難しいです。

普段ライフプランの相談に乗っている経験から言うと、ほとんどのご家庭では食費や光熱費、通信費、日用雑貨、雑費などの基本生活費は老齢年金で賄えることが多いですが、家計簿をしっかり付け、どれくらいの生活費が必要なのかを確認しておきましょう。

もしもの時に備える

75歳以上は後期高齢者医療制度があるため、医療費の窓口負担が1割となりますが、一生涯にかかる医療費のうち65歳以降に占める割合は、男性は57.4%、女性は61.8%(厚生労働省 平成28年度国民医療費 結果の概要より)となっており、対策は必須です。

医療保険などに加入しておくか、100万円程度の資金を確保しておくことをお勧めします。

また、特に費用がどれくらいかかるか読めないのが介護です。

生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査/平成30年度」によると、平均の介護期間は4年7カ月ですが、10年超も全体の14.5%を占めています。バリアフリーのための住宅改造や介護ベッドの購入など、一時的な費用の平均は69万円、月々の費用の平均は7万8,000円となっており、合計すると約500万円となります。

実際に要介護要支援と認定されている割合は65歳以上の高齢者のうち17.9%(内閣府ホームページ:平成30年版高齢社会白書より)ですので、この割合をどう考えるかにもよりますが、やはり一定金額を準備しておきたいところです。

老後のための貯金額

では、実際にどれくらいの貯金額を用意しておけば良いのでしょうか?

総務省統計局が編纂している「家計調査報告(家計調査編) 平成29年」によると、年金生活の夫婦世帯・単身世帯ともに毎月赤字、すなわち支出が収入を上回っている実態が明らかになっています。

これを踏まえて老後に準備しておきたい貯金額を計算してみます。

平成29年簡易生命表によると65歳時点における平均余命は、男性が19.57歳、女性が24.43歳ですが、余裕を見て90歳までの25年間として試算しました。

夫婦世帯

65歳~69歳 平均赤字額:75,239円/月
70歳~74歳 平均赤字額:66,056円/月
75歳以上  平均赤字額:38,874円/月
総合計1,547万5,020円

単身世帯

65歳以上   平均赤字額:40,715円/月
※家計調査報告では、60歳以降の単身世帯を一括りとして数値が出されています
総合計1,221万4,500円

いずれも平均額での概算ではありますが、夫婦世帯では1,500万円、単身世帯では1,200万円以上の貯金額が一つの目標になると言えるでしょう。

老後に必要な理想の金額

夫婦2人で経済的にゆとりのある老後生活を送るための費用として、必要だと考えられている金額の平均は、月額で12万8,000円となっています。(生命保険文化センター 平成28年度 生活保障に関する調査より)

具体的にどのようなことに使っていきたいと考えているかというと、「旅行やレジャー」が60.6%と最も高く、以下「身内とのつきあい」(50.1%)、「趣味や教養」(49.7%)、「日常生活費の充実」(49.0%)の順となっています。

夫婦世帯

12万8,000円/月を90歳までの25年間使うとして試算すると、合計3,840万円となります。

加齢とともに食が細くなったり、足腰が弱くなって行動範囲が狭くなるなど、ずっと同じ金額を使うとは考えにくいかもしれません。

しかし、先に述べたように病気や介護などで必要となることも考えると、これくらいの貯金額があると安心でしょう。

単身世帯

単身世帯に関する調査結果が無いのですが、これまでの統計データから考えると、夫婦世帯のおよそ6割とするのが適当と思われます。

3,840万円の6割はおよそ2,300万円となります。

老後資金はどう貯める?

大きな金額だけに、一朝一夕に貯められるものではありません。また、残念ながら老齢年金だけには頼れません。

ポイントは、「長く働き、お金にも働いてもらう」です。

定年後の仕事

ようやく定年を迎えたのにまだ働くのか・・・と思うと憂鬱ですが、お金のためだけでなく健康のためにも、働くことは重要です。

老人性うつという言葉もあるように、最初のうちは自由な時間を楽しんでいても、徐々に何をしていいかわからなくなったり、社会に必要とされていないことに不安を覚えて心身に不調をきたすケースもあります。

退職金を使って起業!とまではしなくとも、再雇用や再就職、シルバー人材センターに登録するなどの方法があります。

現役時代の頃から仕事のスキルを磨いたり、仕事だけに限らず趣味の世界などで人間関係を広げたりしておくことも大切ですね。

資産運用

少額でも良いので、若いうちから出来るだけ早く始めることが肝心です。

ただし、いきなり株や一括払いの投資信託に手を出すのは禁物。

個人年金保険や確定拠出年金、つみたてNISAなど、税制優遇のある制度を活用しながらコツコツと積み上げていけば、大きな損失も回避できます。

定年後に始めたとしても、遅いとは限りません。

65歳からでも80歳・90歳を目標とした投資をし、お金にも働いてもらいましょう。

くれぐれも一括払いには要注意、です。

貯金額に応じた老後の過ごし方

家計簿をしっかり付ける、これに尽きます。

まずは生きていくために必要な最小限の費用を知るところから始めましょう。

いくら老後にたくさんのお金を貯めておけたとしても、散財してしまっては意味がありません。

特に退職金などで一気にたくさんのお金が入ってくると、気が大きくなって使い過ぎてしまうことがままあります。

もし老後の貯金がなくなってしまったら

しっかり管理をしていても、様々な事情で使い切ってしまうこともあるかもしれません。

年金生活であったとしても、極力切り詰めて突発的な出費に備えて貯蓄をしていくほかありません。

まとめ

各々が受け取る老齢年金については、納めてきた年金保険の種類や期間、保険料によって異なります。

また、少子高齢化の影響から支給開始年齢引き上げの議論が国会でされるなど、制度変更の可能性もありますが、ここでは詳細は割愛します。

毎年1回誕生月に届く「ねんきん定期便」には、これまでの加入実績や加入実績に応じた年金額、50歳以上の方であれば老齢年金の見込み額なども記載されているので、若い方もまだ先のことと思わずに、しっかり確認しておきましょう。

執筆者

鷹尾 和哉(ファイナンシャルプランナー)

2000年大学卒業後、大手システム開発会社に入社しインターネットバンキングなどの開発に従事。自身のライフプランを立てたことがきっかけでFPの資格を取得、その後外資系保険会社に転職し、約300世帯のライフプランを任される。よりお客様に寄り添った提案がしたいと2012年に現職へ。家計や保険の見直し、相続、資産運用などの個人相談業務を数多く行っており、個別の資金計画がとてもわかりやすいと好評を得ている。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士AFP資格トータル・ライフ・コンサルタント
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