労災保険とはどういう保険? 特徴や仕組みを徹底解説

生活

労災保険は厚生労働省が運営管理を行う公的保険制度です。労災保険の正式名称は「労働者災害補償保険」といいます。

その名の通り、労働者が業務上のケガや病気などになった時に労働者や遺族の生活を守る社会保障制度のひとつです。

今回は、公的保険制度である労災保険とはどういう保険なのかについて、みなさんと一緒に勉強していきたいと思います。

労災保険とは?

労災保険とは、労働者が仕事中や通勤が原因でケガや病気、または死亡した場合に保険給付を行う公的保険制度です。

労災保険の対象は労働者ですので、労働者のための公的保険制度ということができます。

しかしながら、実は労災保険は事業主のための保険でもあるのです。

本来、労働者が業務上のケガや病気になった場合、事業主は労働者に対して補償を行う法的義務があります。

この補償は、事業主の無過失責任であり、たとえ被災労働者が退職したとしても補償を打ち切ることができませんので、事業主の費用負担は果てしない金額となるかもしれません。

その補償を事業主に代わって支払ってもらえるのが労災保険なのです。

つまり、労災保険は労働者のための保険であると同時に事業主を守るための保険なのです。

※引用元
厚生労働省 第一章 総論 5.労働災害の発生と企業責任について
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei14/dl/081001-1b_0006.pdf

労災保険の仕組み

労災保険の加入者は事業主となります。したがって保険料は事業主の全額負担ですので、労働者は一切の保険料負担がありません。

事業主は保険料を年度毎に算出してとりまとめ、管轄の労働基準監督署に納付する義務があります。

また、労災保険の保険料率は業種によって異なります。

一般的に労災リスクの高い建設業や運送業は保険料率が高く、労災リスクの低い業種は保険料率が低く設定されています。

保険料率は3年毎に見直しが行われます。

労災保険の加入条件と加入対象

加入条件

従業員を1人でも雇っている事業所は、必ず労災保険に加入しなければなりません。

しかしながら不幸にも労災保険に未加入の会社で業務中にケガをしたらどうなるのでしょうか。

ご安心ください。もし会社が労災保険に加入していなかったとしても、被災労働者は労災保険を使うことができます。

ハローワークや労働基準監督署へ相談して、必要な書類を揃えて提出しましょう。

加入対象

労災保険は雇用形態にかかわらず、労働の対価として賃金を受け取る全ての人が対象となります。

したがって、正社員も非正規雇用も、パートやアルバイトも全ての人が対象となります。

派遣労働者の方も対象となりますが、派遣元の事業所が加入者となります。

ところが、代表取締役、業務執行権を持つ役員や監査役は労災保険の対象外となります。

さらに建設業の一人親方の様に、業務を請負う働き方をしている方も対象外です。

ただし、一人親方や代表者であったとしても中小企業の事業主の場合は、労災保険特別加入制度があります。

労災保険の給付金が適用されるケース

業務災害

業務災害とは、労働者の業務上でのケガや病気、障害又は死亡をいいます。

業務上での災害は以下の2つの要件を満たす必要があります。

・業務起因性:仕事がケガ・病気の原因になったかどうか

・業務遂行性:仕事中に発生したケガ・病気であるかどうか

例えば、業務災害と認められるケースとして、以下のようなものがあります。

・建設現場で作業中、脚立から足を踏み外して転倒し骨折した

・倉庫で荷下ろし作業の後、休憩後に歩行不能となり、熱中症による多臓器不全で死亡した

・タンク内壁を清掃中に、残留していたジクロロメタン中毒により死亡した

・上司から連日のように叱責や暴言、書類を投げつける等のパワハラ被害にあい「うつ病」と診断された

※引用元
厚生労働省 職場の安全サイト 労働災害事例

https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/SAI_FND.aspx

通勤災害

通勤災害とは、労働者が通勤により被ったケガや病気、障害又は死亡をいいます。

ここでいう通勤とは、自宅と職場間の往復や現場間の移動です。

関係の無い場所への寄り道は対象外となります。

しかしながら、日用品を購入するための寄り道や、やむを得ない事由により行うための最小限度の逸脱の場合は、対象となります。

例えば、通勤災害と認められるケースとして、以下のようなものがあります。

・電車で通勤中に転倒して骨折した

・会社から帰宅途中に津波警報が出たので、自宅へ向かわずに避難場所へ移動する際に転倒してケガをした

・地震でケガをして入院している妻の看護のために寝泊まりしている病院から出勤する途中にケガをした

※引用元
厚生労働省 2通勤災害関係

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000016ahx.html

労災保険の加入手続きの方法

事業開始の日またはその事業が適用事業に該当するに至った日に自動的に保険関係は成立します。

保険関係が成立したその日から10日以内に、事業主は「保険関係成立届」を管轄の労働基準監督署に提出しなければなりません。

なお、労災保険は労働者個人についての加入手続きは必要ありません。

まとめ

国の公的保険制度である労災保険の特徴を一緒に勉強してきましたが、いかがでしょうか。

事業主は一人でも雇ったら、必ず労災保険に加入しなければなりません。

もし加入を怠ると、罰金が科せられるだけでなく社会的な信用を失うことになるでしょう。

そうならないために、労災保険は労働者だけでなく事業主を守るための保険であるという原理原則を理解して、適切に手続きを進めることが大切です。

また、損害保険会社では、労災の上乗せとなるような商品もあります。

そういった商品の活用も検討してみてはいかがでしょうか?

労働者は業務災害や通勤災害の際に手厚い補償を受けることができる労災保険の仕組みを理解して、安心して働くことができるように家族や職場の仲間達と情報を共有しておくことをオススメします。

また、実際に労災保険からどのような給付を、どれくらい補償されるかといった具体的な補償内容について近くのファイナンシャルプランナーに聞いてみるのも良いかもしれません。

※引用元
厚生労働省 労災保険給付の概要

https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-12.pdf

執筆者

梶野 俊太郎(ファイナンシャルプランナー)

東京都足立区に住む、筋トレが趣味の2児の父親。2000年外資系損害保険会社入社。2004年には、全ての基準を達成し独立開業。1,500件以上の損害保険事故処理の経験を柱に、常にお客様に寄り添うコンサルティングサービスを提供し、提携先や法人個人の数多くのクライアントから絶大な信頼を獲得。誠実に一生懸命をモットーに保険を通してお客様の満足の創造を目指しています。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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