認知症保険とは? 加入を検討する際に押さえておきたいポイント

生活

65歳以上の人口が全人口の21%を超えると「超高齢社会」と呼ばれます。日本は2010年に超高齢社会に突入しました。それに伴い、大きな問題となっているのが認知症患者の増加です。

自分の将来のことはもちろん、親や祖父母が高齢となり身近に介護や認知症のことを不安に感じる方はかなり増えてきているでしょう。

実は私の母も14年前にアルツハイマー型認知症を発症し、現在も介護を続けています。

今回はそうした認知症に備えるため、最近販売されてきているものの内容がまだよく知られていない「認知症保険」について解説します。

将来の認知症推定患者数

厚生労働省の「平成28年 国民生活基礎調査」によると、要介護状態になった原因の第1位は認知症で全体の24.8%となっています(2位は脳血管疾患(脳卒中)で18.4%、3位は高齢による衰弱で12.1%)。

厚生労働科学研究成果データベース「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」によると、日本の認知症患者数は2025年に約650-700 万人、2040 年に約 800-950 万人、2060 年に 850-1150 万人と時代と共に増加することが予測されています。

認知症は民間の介護保険でカバーできる?

このように患者数が拡大している認知症ですが、家族が罹患した場合に介護者がまず利用するのは公的介護保険制度です。

公的介護保険は現物支給で、ケアマネージャーとの相談をもとにして、要介護度に応じて必要となるサービスを受ける仕組みです。

この場合、実際にかかる費用の1割だけを自己負担し、残りの9割を保険でカバーするという内容です。

ただし、受けられるサービスの合計には月ごとの上限が定められています。その上限額を超えてしまうと、受けたサービスの対価として全額(10割)を支払わなければなりません。

高齢者は様々な理由で介護が必要になりますが、その中でも認知症は他の原因(足が不自由になって動けないなど)で要介護になる場合よりも、介護にかかる費用が多くなる傾向があります。

認知症患者の場合、認知機能に問題があっても体は健康なケースも多くあります。介護する家族が働いている場合など、患者を家に一人にしておくのはとても心配ですよね。

そのため介護サービスを受ける時間が長くなる傾向があるのです。我が家でも、家族が自分の時間をできるだけ確保できるよう、可能な限りデイサービスやショートステイなどを利用してきました。

このような場合に、認知症保険は大きな助けになります。

認知症保険はどんな保険?

認知症保険とは

私の母が認知症になった頃(2003年)は、まだまだ認知症に対する理解が浸透していませんでした。介護をする側の家族にとっては、症状が進行するたびに対応しなければならない課題が出てきます。その都度対応策や、かかる費用も変わっていくのです。

私の母も、認知症になった場合に給付が受けられる保険には加入していました。30年ほど前に契約した「寝たきり保険」という損害保険でした。

当時は公的介護保険が存在せず、商品の「寝たきり」というネーミングでも分かるように、人生最晩年の寝たきりに対する補償が想定されていました。

現在行われているような在宅介護に対する補償の概念はありませんでした。

保険期間

一方、昨今の介護へ備える保険は公的介護保険と連動しており、長期化する介護への備えが充実しています。

特に認知症保険は、発症してから亡くなるまでの介護サービスや住宅の改修などに備える保障となっているため、基本的に保険期間は終身で設定されています。

中には認知症の予防を目的とする保険もあり、その商品については保険期間10年というものもあるようです。

主な保障内容

一般的な保障内容は以下の通りです。
・所定の要介護度に達した場合、一時金を支払う
・所定の要介護度に達した場合、その後終身にわたり年金を支払う

一時金に関しては、玄関にスロープを設けたり、廊下や風呂場、トイレに手すりを設けたりと工事にお金がかかることを念頭に支払うケースが多く、要介護3と認定された場合に支払うといった内容が多くなっています。

年金については、継続してかかる介護費用を補うために用いられます。前述の通り、認知症患者が誤食・誤飲しないように見守ることや、迷子にならないように気を配る必要があるため、限度額以上のサービスを受けることもあります。

その場合の超過費用は全額自己負担です。こんな時の支払いにも役立つといえます。

最近の商品の中には、要支援の状態と認定されると一時金を支払うものや、例えば要介護1になると、その後の保険料の支払いが不要になるといったものもあります。

認知症保険のメリット

認知症保険が発売される前にも、介護が必要になった場合に保険金を支払う保険は存在しました。
・介護保険(一時金・年金)
・収入保障保険や医療保険の介護(就業不能)特約 など

しかし、より介護費用がかかるという認知症に対する保障にスポットを当てている認知症保険は、患者を抱える家族にとって強い味方になるでしょう。

一方で認知症とならなかった(要介護の状態であっても)場合は、大きな給付が得られない可能性があることには留意する必要があります。

なお、主契約を骨折時の一時金支払いにするもの、高齢者がなる可能性の高い軽度認知症(MCI*:認知機能に軽度の障害がある状態で病気ではありません)と認定された場合に一時金を支払うものなどが発売されてきており、今後も各社から様々な保障が発売されるかもしれませんね。

まとめ

介護が必要な状況の中でも金銭の負担が大きな認知症に対して、認知症保険は大きな力になると思います。この保険の強みと弱みを良く理解したうえで加入することが大事と思います。

私個人としては、保険で準備する部分とどのような状況でも活用できる老後資金を準備するという両方の対応を取るのが理想だと考えます。

いずれも高齢になってからの話ですが、準備は早くすればするほど選択肢が広がることは事実です。自分や家族の人生と向き合って考えてみたいテーマですね。

執筆者

速水 秀樹(ファイナンシャルプランナー)

1996年大学卒業後、繊維・化学メーカーに就職。ライフサイエンス関係の商品を海外展開する職務に従事。その頃「将来は海外での生活」を夢見るが、実母と祖母のダブル介護に直面し、サラリーマン生活に終止符。この時大きな人生の岐路に立ち、ライフプランニングと出会う。その重要性に気付き、自身がファイナンシャルプランナーへ。介護の経験、豊富な知識を生かし「お客様に誠実に寄り添い、本当の声を聴く」をモットーに活動中である。学生時代から登山が趣味。山登りで学ぶ先を読む力が、相談業務にも生かされている。執筆は、介護に関する記事も。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士AFP資格
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