FPが解説! 民間介護保険の選び方のポイント

生活

「老老介護」や「介護離職」など両親の介護にかかわる様々な苦労や問題について近年話題になることが増えてきましたが、そのための備えの一つと言えるのが民間の介護保険。一体、どんな商品があり、どのように選ぶのがいいのでしょうか。民間の介護保険について解説して参ります。

民間介護保険とは

介護を考える場合、社会保障制度としての公的介護保険がベースとなりますが、この公的介護保険だけでは不足するケースもあり、自助努力として公的介護保険を補う方法として民間の生命保険会社の介護保険があります。

民間介護保険の種類と特徴

民間の介護保険とは、保険会社の約款に定められた所定の要介護状態になると介護保険金が支給されるもので、給付内容はまとまった金額を一時金(介護一時金)で受取るタイプ、定期的に年金(介護年金)で受取るタイプ、一時金と年金の両方を受取るタイプの3タイプがあります。

加入の方法としましては、

1.終身保険や医療保険などの主契約に介護保障の特約を付加する方法
2.主契約として介護保険に単体加入する方法
3.終身保険などの保険料の払込満了時点で介護保障に移行する方法

等があります。

どの受取タイプ、どの加入方法で準備をするかによって保険料の負担も様々であり、介護だけの保障に的を絞るのか、または死亡保障や入院保障と併せ持つのか等、ご自身やご家族のニーズに合わせた介護保険の選択が必要です。

公的な介護保険との違い

公的な介護保険が介護サービスなどの「現物給付」であるのに対し、民間の介護保険は使いみちが自由な「現金給付」であることが最大の違いです。

また、公的な介護保険は40歳未満は加入できませんが、民間の介護保険は40歳未満でも加入できる商品も多く、若いうちに準備を始めることが可能です。

さらに、公的な介護保険では40歳以上65歳未満の人は16種類の特定疾病で要介護状態に該当した時にしか介護サービスを受けることができませんが、民間の介護保険にはこの制限がないものも多く、様々な選択が可能です。

加入したほうがいいのはどんな人?

潤沢な財産があれば民間の介護保険は加入の必要がないとか、十分な年金収入の見込みがあれば加入の必要はないとか一般的に言われているようですが、要介護状態になる可能性は誰しもが抱えています。

場合によっては夫婦共に介護状態になるケースや介護状態が長期化することによる継続的な経済負担、また65歳未満の現役世代で要介護状態になった場合の介護にかかる費用負担、生活費の補填の必要性も考えられ、結論から言えば全ての人が加入に関して検討くらいはしたほうがいいと言えます。

今後も益々少子高齢化、核家族化が進み、介護の状況が出てくれば経済的、精神的な負担は大きく近親者に掛かってしまいます。

精神的な負担は軽減することはなかなか難しいですが、少なくとも経済的な負担を掛けないような自助努力が必要ではないでしょうか。

民間介護保険に加入する際の注意点

公的介護保険の上乗せとして自助努力で民間の介護保険に加入する場合、以下の項目も加味した上で保険加入を検討した方が得策と言えるでしょう。

公的介護保険の要介護認定が必要

民間の保険会社が販売している介護保険商品は増加傾向にありますが、その多くが公的介護保険制度に定める所定の介護基準(介護等級)に連動して介護保険金が給付されるものと、保険会社が独自に定めた基準をもとに介護保険金が給付されるものがあります。

保険会社が独自に定めた基準をもとに介護保険金が給付されるものについては保険商品ごとに基準にはバラつきがあり保険商品のパンフレットや商品概要説明書、約款をよく確認して加入すべきです。

また、分かりやすい基準として各保険会社が採用している公的介護保険の認定基準がありますが、この認定基準による介護認定を受けないと支給の対象とならないケースも考えられるということです。

将来的に要介護となるかはわからない

当然ながらせっかく準備をしていても介護状態にならないケースもあります。

いわゆる掛け捨てタイプの介護保険では、死亡保険金や解約返戻金、満期保険金などがないケースも多く、所定の要介護状態となって保険金や給付金として受け取らない限り、保険料の掛捨てとなります。

ですから、無理・無駄がない保険料負担にしておくことも大事と言えるでしょう。

民間介護保険を選ぶポイント

上述の通り民間の介護保険の準備の方法はどの受取タイプにするのか、どの保険種類で準備をするのか以外にも以下のような条件を踏まえ詳細に選んでいく必要があります。

保障期間

一定期間だけ保障される「有期タイプ」と一生涯保障される「終身タイプ」があります。

「有期タイプ」だと一定年齢までの保障であり、「終身タイプ」は一生涯の保障でより安心と言えます。

支払期間

「終身タイプ」では保険料の払込を一定の期間までに完了させる方法(短期払い)と、一生涯払込を続けていく方法(終身払い)があります。

短期払いは一定期間で保険料の払込を完了させることが可能ですが、その分毎月の保険料は終身払いと比較すると高くなります。

逆に終身払いは短期払いと比較すると、毎月の保険料は安くなりますが、保険料の払込は一生涯続きますので高齢になると負担を感じるケースも考えられます。

支払事由

公的介護保険制度に定める所定の介護基準(介護等級)に連動して介護保険金が給付されるものと、保険会社が独自に定めた基準をもとに介護保険金が給付されるものがあります。

最近では公的介護保険制度に定める所定の介護基準(介護等級)に連動して給付されるものが多く、保険会社が独自に定めた基準をもとに介護保険金が給付されるものと比べて給付の判断基準としては分かりやすいと言えるでしょう。

また、公的介護保険制度に定める所定の介護基準(介護等級)については、保険会社によっては要介護1から給付する介護保険もありますし、要介護3からでないと給付の要件とならない介護保険もあります。

給付基準については特に大事な要件ですのでしっかり確認して加入する必要があります。

公的介護認定

厚生労働省によると、要介護(要支援)認定者数は2015年度は約620万人となり、前年度に比べ約2.3%の増加となっています。

公的介護保険制度がスタートした2000年度と比べると、認定者数は約2.4倍に増えています。

介護認定者を年齢別にみると、40~64歳の第2号被保険者が約13.6万人、65歳以上の第1号被保険者のうち65~74歳の人が約75.6万人、75歳以上の人が約531.2万人となっており、75歳以上の人が約86%を占めています。

今後も益々長寿化、少子高齢化が進むことを勘案しても、要介護認定者数は増加していくことは容易に想像がつきますし、他方、社会保障費が増大していき、税金の担い手となる若年層も減少していくことを考えれば、介護の認定においても認定基準が厳格化されていく可能性もあります。

要介護度別認定者数の推移


注:1. 各年度末の認定者数。
注:2. 2006年度から要介護認定の区分が変わりました。要支援が要支援1・2となり、要介護1相当の人が要介護1と要支援2に振り分けられました。この改正前に要支援の認定を受け、改正後も認定の有効期間内にある場合は「経過的要介護」とされていました。(出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告(年報)」/平成27年度)

民間介護保険の特約はつけるべき?

民間の介護保険には保険商品ごとに付帯できる様々な特約があります。主契約だけでなく付帯できる各種特約も加入を検討する際の検討材料にする必要があります。

代表的な例

●介護一時金特約
●介護年金特約
●保険料払込免除特約
などがあります。

注:保険商品ごとに多数の付帯できる特約がありますので、保険商品ごとのパンフレットや商品概要説明書、約款などでご確認下さい。

保険金額はいくらにすべきか

介護の認定ランクや在宅で介護サービスを受けるのか、施設で介護サービスを受けるのかによって必要な介護費用は様々ですが、参考データとして(公財)生命保険文化センター「平成27年度 生命保険に関する全国実態調査」のデータは以下の通りです。

●初期費用 平均252万円
●月々の費用 平均16.8万円(年間で約201万円)

注:支給限度額内で受ける介護サービスは一部自己負担があり、支給限度額を超える分が全額自己負担となります。

まとめ

介護はもはや「他人事」ではなく、かなり身近な存在であり、自分の両親だけでなく、配偶者の両親、またご自身や配偶者にもいつ起きるか分からない問題として認識し、そうなった時にどれくらいの経済的な出費が伴うのか、どう事前の対策を打つべきなのかを考えていく必要があるのではないでしょうか。

公的介護保険、民間の介護保険についてもファイナンシャルプランナーに相談されるのも問題解決の手段の一つだと思います。

執筆者

坂本 雄一(ファイナンシャルプランナー)

"1993年大学卒業後、熊本の地方銀行に入行。融資業務、預金業務、資産運用業務を経験。より顧客の人生設計(ライフプラン)やマネープランに銀行員として的確にアドバイスがしたく16年3か月の行員生活に終止符を打ち、外資系金融機関へ転職。その後は、よりファイナンシャルプランナーとしての活動の幅を広げるべく独立し現在に至る。熊本県下最大の住宅展示場で資金相談会も定期的に開催中。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士住宅ローンアドバイザー
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