国民年金の付加年金とは? メリットと注意点まとめ

生活

最近は、老後の年金問題が大きくクローズアップされていますが、皆さんは老後の年金を増やすための方法として、国民年金(老齢基礎年金)の上乗せである付加年金をご存じでしょうか。

公的年金の中で、うまく活用すれば大変お得な付加年金のメリットや注意すべき点について解説したいと思います。

国民年金の付加年金とは一体?

付加年金とは、国民年金の一般保険料に加えて、月々400円の付加保険料を納めると、将来の老齢基礎年金に付加年金が上乗せされるというものです。

将来受け取ることのできる毎年の付加年金額は、200円×付加保険料納付月数になります。

付加年金保険料を納められる条件

公的年金制度のうち、付加年金保険料を納められる条件は以下の通りです。
残念ながら、すべての年金加入者に認められているわけではありません。

付加年金保険料を納められる人

①『国民年金第1号被保険者』および②『任意加入被保険者』のみです。
①は、自営業者、農業従事者、学生、アルバイト、無職の人で20歳以上60歳未満の人をいいます。

また、②は60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない人や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合などで年金額の増額を希望して60歳以降に任意加入した人をいいます。

付加年金保険料を納められない人

会社員や公務員などの第2号被保険者、および専業主婦などの第3号被保険者は付加年金に加入することができません。

また、上記①、②であっても、以下の人は加入することができません。

  • 国民年金基金に加入している人
  • 国民年金保険料の免除・猶予を受けている人
  • 65歳以上の任意加入被保険者

付加年金に加入できる期間

原則として、国民年金第1号被保険者である期間をベースに20歳~60歳までの最長40年間(480ヶ月)になります。

ポイントは以下の通りです。

  • 申し出のあった月からの加入となり、遡って加入することはできません。
  • 途中で、会社員や公務員などの第2号被保険者、および専業主婦などの第3号被保険者である期間は加入できません。
  • 上記の任意加入被保険者が国民年金の最長加入期間480ヶ月に到達するまでは、付加年金に加入できます。ただし、60歳以上65歳未満の期間に限ります。

付加年金で得られるメリット

月々400円の付加保険料を最長480ヶ月支払うと、支払額の合計は 400円 × 480ヶ月 = 192,000円 ですが、それに対して65歳から受け取れる毎年の付加年金額は 200円 × 12ヶ月 × 40年 = 96,000円 ですので、2年間の支給を受ければ元が取れる計算になります。

これが、最大のメリットです。

付加年金保険料は所得から全額控除できる

毎年支払う付加保険料(年間:400円 × 12ヶ月 = 4,800円)は、国民年金や国民健康保険と同様に社会保険料控除として、所得税の確定申告時に全額控除できます。

長生きすると払った金額以上の年金を受け取れる

上記の通り、65歳から支給される付加年金は2年間で元が取れる計算ですので、67歳以上の長生きをすれば、支払った以上の付加年金を貰えることになります。

なお、老齢基礎年金を繰り下げ支給する場合には、付加年金も同率で増額されるというメリットがあります。

条件次第で死亡一時金が加算される

国民年金の死亡一時金は、国民年金保険料を第1号被保険者として3年以上納めた人が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取らずに亡くなった時に支給されるものです。

付加保険料を3年以上納付していれば、そのような死亡一時金が支給されるような場合には8,500円が加算されます。

付加年金の注意点

付加年金は、老齢基礎年金の上乗せとして65歳から支給されるものなので、最大のデメリットは65歳までになくなった場合には年金には全く反映しないことです。

つまり支払った付加保険料は全額返還されませんし、その後、遺族基礎年金を受給する場合にも全く反映されません。

そして67歳までに亡くなられた場合には、受け取った付加年金の受給総額が支払った付加保険料の支払総額よりも少なくなるため、その差額分は損することになります。

また、インフレリスクに対応した物価スライドという仕組みを採用している公的年金に比べて、今まで見てきたとおり、付加年金は定額制のためインフレに弱いという性質を有しています。

将来的に年金制度が変わる可能性がある

付加年金は老齢基礎年金の上乗せ制度ですので、老齢基礎年金と障害基礎年金のうち、すべて障害基礎年金からの受給を選択したような場合には、老齢基礎年金が全額支給停止になるため、付加年金は支給されなくなります。

同様に、将来において老齢基礎年金の支給開始時期が変わるような年金制度の変更によって、付加年金制度も変わる可能性は否めません。

繰り上げ受給をすると減額される

老齢基礎年金の支給開始は65歳ですが、先程の老齢基礎年金を繰り下げ支給する場合には、付加年金も同率で増額されるというメリットとは逆に、繰り上げ支給する場合には、付加年金も同率で減額されるため、減額された額が受給できなくなるというデメリットがあります。

つまり、65歳以降に受け取る年金の減額された部分が、繰り上げ支給で受け取った総額を超えた以降も、減額された額での需給となります。

まとめ

お伝えした通り、付加年金制度は国民年金(老齢基礎年金)の上乗せ制度です。

付加年金のメリットとデメリットを解説しましたが、最大のメリットは長生きした場合における付加保険料の支払総額に対する将来期待される受給総額という大きな投資効果でしょう。

また、一方で最大のデメリットは67歳まで生存しなかった場合の損失リスクと付加年金制度がインフレに対応していないための物価上昇リスクだと思われます。

今後の日本人の平均寿命の伸展を考えますと、一般的にはメリットの方がデメリットを上回ると考えられているようですね。

執筆者

原木 俊哉CFP®資格

東京都千代田区在住。1989年大学卒業後、大手都市銀行に入行。預金業務、融資業務、資産運用業務と幅広く銀行業務を経験、多忙の中、公認会計士試験と税理士試験に5年間トライ。1990年代日本においてCFP、Certified Financial Planner、サーティファイド ファイナンシャル プランナーの資格試験が初めて実施され、29歳の時にこの資格を知る。ファイナンシャルプランニングやライフプランニング業務への関心が高まる中、生命保険が世の中に大いに貢献している事に感銘を受け、外資系生命保険会社へ転職を決意。7年間の勤務の後、2002年より現在の業務スタイルへ。モットーは、「Longlife Money Partnerとして人生の伴走者であり続ける事。」幼少期から高校3年まで続けていた野球で培った「粘り強い精神」も業務に活かされている。
■保持資格:1級ファイナンシャル・プランニング技能士CFP®資格、税理士資格4科目合格
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