月収から貯蓄に回す最適な割合は? 平均貯蓄率はどれくらい?

生活

皆さんは毎月もしくは毎年、どれくらいの貯蓄をしていますか?

欲しいものがある、旅行に行きたい、住宅購入の頭金のために、老後が不安だから……など、人それぞれ様々な目的があると思いますが、給料のうちどれくらいの金額を貯蓄に回すのが適切なのかがわからないという方も多いかと思います。

貯蓄の目安を知るために、平均的な貯蓄率について解説していきます。

一般的な貯蓄の割合

年間手取り収入における貯蓄割合の平均はどれくらいなのでしょうか?

金融広報中央委員会の公表資料「平成30年(2018年)家計の金融行動に関する世論調査〔二人以上世帯調査〕」(https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/)によると、次のような調査結果となっています。

全国的な貯蓄割合の平均

まずは貯蓄率(貯蓄額/年間手取り収入)の全国平均を見ていきましょう。

5%未満 7.3%
5~10%未満 14.1%
10~15%未満 19.8%
15~20%未満 4.7%
20~25%未満 7.3%
25~30%未満 1.1%
30~35%未満 3.4%
35%以上 3.0%
貯蓄しなかった 33.1%
無回答 6.2%

貯蓄しなかった世帯も含めた貯蓄率の平均は8%ですが、貯蓄をしている世帯だけで計算し直すと平均は12.65%となります。

中央値である10~15%未満の方が約2割いらっしゃいますので、これが一つの目安と言えるでしょう。

年代別の貯蓄割合の平均

では、世帯主の年齢別の貯蓄率はどうなっているのでしょうか?

20歳代 15%
30歳代 12%
40歳代 10%
50歳代 9%
60歳代 7%
70歳以上 6%

年齢が上がってくるにつれて貯蓄割合が下がっています。独身の頃は自由に使えていたお金も、結婚・出産・教育・住宅購入といったライフイベントが続く中で、貯蓄に回せる金額が少なくなっていくようです。

ちなみに貯蓄をしなかった割合は、20歳代は15.0%、30歳代は15.0%、40歳代は18.9%、50歳代は27.3%、60歳代は42.1%、70歳以上は50.5%となっています。

年金生活に入ると現役時代に比べて収入が下がるため、より貯蓄が難しくなることがうかがえます。

また、将来のために貯蓄をするというよりも、元気なうちに楽しく使い切りたいという気持ちが働いていることも一因かと思われます。

年収による貯蓄の割合の違いは?

今度は年収別の貯蓄率を見ていきましょう。

300万円未満 4%
300~500万円未満 7%
500~750万円未満 10%
750~1000万円未満 11%
1000~1200万円未満 14%
1200万円以上 18%

やはり年収が上がるほど可処分所得も多くなりますので、貯蓄率も高くなっていきます。なお、中央値はいずれの分類でも10~15%未満となっています。

貯蓄を増やすためのポイント

先の調査結果によると、どの年代・どの年収においても、貯蓄率が35%以上の方が一定数あります。

ちなみに年収500万円未満でも35%以上の貯蓄率の方が1.7%いらっしゃいます。貯蓄を増やすポイントはあるのでしょうか?

貯蓄の目標額を差し引いたうえで生活費の予算を考える

先に生活費を使い、残ったら貯蓄をする方法では、貯蓄を増やすことは難しいです。

意識しなくても勝手に貯まっていくという方は、元々の年収が高いか、倹約家の方でしょう。

逆に貯蓄の目標額を前もって差し引き、残りを生活費とする「先取り貯蓄」の方が、確実に貯蓄残高を増やすことが出来ます。

ただ、やみくもに差し引いてしまっては苦しく感じてしまうので、まずはしっかり家計簿を付けて、何にどれくらい使っているか、それが必要な出費なのか浪費なのかをしっかり見極めるところから始めましょう。

割合を維持しながら貯蓄を継続する

「先取り貯蓄」を実践していても、収入が増えてくると生活水準が上がり、知らず知らずのうちに支出が増え過ぎてしまうことがあります。

いったん生活水準が上がると、それを再度切り詰めるのはとても痛みを伴いますので、元の貯蓄率を意識して貯蓄を継続していくようにしましょう。

計画的に貯蓄がしたいのならファイナンシャルプランナーに相談を

そもそも何のために貯蓄をするのでしょうか?特に目的は無いが、貯蓄があると安心だからという方もいらっしゃいます。

もちろん貯蓄は無いよりもあるに越したことはないのですが、せっかく貯めたものの減らすのが怖くて使うことが出来ない、となっては本末転倒です。

ではどうすればよいのか。計画的に貯蓄をし、上手に使うにはライフプランを立てることが最も有効です。

ライフプランとは人生設計という意味ですが、どのような流れで作成するのかを簡単にお伝えしましょう。

まずは現状を把握するところから始めます。例えば家計簿をつけて、収入や支出、預貯金などの金融資産がどのようになっているかを確認します。

次に、将来の夢を考えます。いつか行きたいと思っている旅行、一戸建てを買いたい、車が欲しい、子どもには大学に行かせてやりたい、などなど……。

そしてここからが肝心ですが、その夢について実行する「日付」を付けていきます。夢は思い描いている間は夢のままですが、日付を付けることで目標に変わります。

そして現状と将来の夢のギャップを埋めるべく、貯蓄計画を立てていきます。例えば5年後に200万円の車を買うとします。そのためには年間40万円、月にすると約35,000円の貯蓄が必要です。

携帯電話の料金プラン見直しで月5,000円の節約、生命保険の見直しで月3,000円の節約、それでもまだ27,000円足りない。毎日会社で昼休みに買っている缶コーヒーを買わずに自宅からマイボトルを持って行くのはどうだろう……?といった感じで優先順位を決めて出来ることから始めていきます。

中には欲しいと思っていたはずなのに、実はそうでもなかったと自分の心の変化が現れて優先順位が変わってくることもあります。

こうした作業を一人で行うのは難しいですし、パートナーとしようと思っても意見がぶつかり合って先に進めません。

ここで重要な役割を果たすのが金融の知識やライフプラン作成に長けたファイナンシャルプランナーです。

効率よく貯蓄するためのそれぞれのご家庭に合った処方箋を出してくれるはずですから、ぜひお近くのファイナンシャルプランナーを調べて相談してみて下さい。

まとめ

世代別・年収別の平均的な貯蓄割合から、貯蓄を増やすためのポイントなどをお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

正直、あまり役に立たないと感じられたのではないかと思います。実はそれが正解です。

日本人はどうしても皆がどうしているかが気になってしまいますが、仮に年齢や年収・家族構成が同じようなご家庭であったとしても、価値観は人それぞれ異なるため、貯蓄に対する考え方や方法も人それぞれです。

たくさんのライフプランのご相談に乗っていると、将来が不安だからと貯蓄に精を出し過ぎて子どもが小さい頃には旅行に行かず、さあ連れて行ってあげようと思った頃には子どもの部活が忙しくて旅行に行けず、過ぎ去った時間は取り戻せない……なんてこともあったりします。

ぜひライフプランをしっかり立てて、自分やご家族に合った貯蓄計画を作りましょう!

執筆者

鷹尾 和哉(ファイナンシャルプランナー)

2000年大学卒業後、大手システム開発会社に入社しインターネットバンキングなどの開発に従事。自身のライフプランを立てたことがきっかけでFPの資格を取得、その後外資系保険会社に転職し、約300世帯のライフプランを任される。よりお客様に寄り添った提案がしたいと2012年に現職へ。家計や保険の見直し、相続、資産運用などの個人相談業務を数多く行っており、個別の資金計画がとてもわかりやすいと好評を得ている。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士AFP資格トータル・ライフ・コンサルタント
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