指定代理請求人って何? どんな制度?

がん保険

保険の「指定代理請求人」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
一体誰が、どんな場合に使えるのか、そもそも必要なのか、確認してみましょう。

指定代理請求制度とは

どんな制度?

被保険者受取人となっている保険金(入院給付金等)などの支払事由が生じた場合で、被保険者が保険金などを請求できない特別な事情があると保険会社が認めたときは、あらかじめ指定した指定代理請求人が代わりに請求することが出来るという制度です。

対象となる保険金などは?

  1. 被保険者と受取人が同一人である保険金など
  2. 被保険者と保険契約者が同一人である保険料の払込みの免除

保険金や給付金の種類は各保険会社で異なりますが、例えば、高度障害保険金や特定疾病保険金、入院給付金、手術給付金、他にも介護保険金、介護年金や、余命6か月以内と判断されたときのリビング・ニーズ特約保険金、所定の要介護状態となった場合の介護前払特約保険金などがあります。

「特別な事情」って?

  • 被保険者が保険金などの請求を行う意思表示が困難な状態にある
  • 被保険者本人が病名の告知を受けていない

など。

各保険会社の約款等には記載されていますが、例えば、交通事故などで昏睡状態が続き、入院給付金の請求が不可能な場合。

ガンの告知は家族のみで本人にはされていないために保険金請求や払込み免除の請求が不可能な場合などです。

代理請求人の範囲

各保険会社の約款等の規定により異なりますが、概の基準で挙げますと

  1. 被保険者の戸籍上の配偶者(同居・同一生計の有無は問わない)
  2. 被保険者の直系血族
  3. 被保険者の兄弟姉妹
  4. 被保険者の3親等以内の親族(同居・同一生計の有無は問わない)
  5. 被保険者の上記以外の民法上の親族
  6. 上記以外の親族以外の者で、保険会社が認める者(内縁関係にある者、元配偶者ただし請求時点で被保険者に配偶者がいないこと、婚約者)

など。

指定代理人が請求出来ない場合は?

指定代理人が死亡している場合、もしくは請求時に定める範囲外の場合、または保険金を請求出来ない特別な事情がある場合には、

  1. 請求時において被保険者と同居し、または被保険者と生計を一にしている
  2. ①の該当者がいないもしくは請求不可能な場合、請求時において被保険者と同居し、または被保険者と生計を一にしている被保険者の戸籍上の配偶者。
  3. ①②の該当者がいないもしくは請求不可能な場合、請求時において被保険者と同居しまたは生計を一にしている被保険者の3親等以内の親族

この①②③の者が、請求書類および特別な事情の存在を証明する書類を提出して保険金等の受取人の代理人としての保険金等を請求することが出来ます。

<①②③の該当者がいない場合、代理人を指定していなかった場合は?>
代理人を指定していなかった場合でも、法定相続人などが代わりに請求をすることが可能です。
(ただし、成年後見人にのみ請求を認めているという保険会社もあります。)

その場合、請求に他の法定相続人が同意している旨の書類に署名と押印したものと、戸籍抄本等の提出が必要になります。

変更は可能?

保険契約者は被保険者の同意を得て、保険会社に対する通知により指定代理請求人を変更することが出来ます。
ただし、あくまで代理請求人の範囲内での指定となります。

変更は、通知が保険会社に到達した時から効力が生じます。
変更を行った時は、保険証券に表示されます。

まとめ

保険会社は保険契約者からの請求によりのみ、支払事由発生を知ります。
すなわち、保険会社に請求をしない限りは支払われないということです。

保険金や保険給付金、保険料払込み免除を請求する権利には、その請求権者がその権利を行使出来るようになった時から3年間請求がないときは消滅するというような、各保険会社には「時効」が存在するということを忘れてはいけません。

代理人を指定する際には、契約者は被保険者の同意を得る必要があります。
ただし、指定する代理人の同意は必要ありません。

死亡保険金受取人にも同意の必要はないのです。
つまり、契約者と被保険者が同一の場合、代理人や死亡保険金受取人は自身が指定されていることはもちろん、保険契約の存在すら知らないままということが起こり得るのです。

保険料の引落し口座の痕跡や保険証券などの保険契約に関するものが発見されなければ、時効を過ぎて消滅してしまうかもしれないということです。

特に、ガンなどの特定疾病保険金や入院給付金等の生前給付金の場合、高度や高額な治療を受けられる機会を損失してしまうかもしれません。

万が一のリスクを考え、備えて、保険料を支払ったにも関わらず、保険金、給付金を受け取れないということになってしまうのです。

そのようなことにならないためには、まずは死亡保険金受取人、指定代理請求人に保険加入について、指定していることを伝えておくことが大切です。

保険種類や詳しい保険内容、加入した保険会社については忘れてしまうかもしれませんが、とにかく加入をしているということだけは伝えておきましょう。

そして、保険証券などを整理してわかりやすく保管しておくことをお勧めします。
名刺等の保険担当者や保険会社の連絡先も一緒に保管したり、指定人に渡しておくのも良いでしょう。

家族登録制度を設け、加入の事実を登録したご家族に通知するサービスを行う保険会社もあります。
保険に加入することは、保険金、給付金を受け取ることがそもそもの最大の目的です。

保険契約は10年20年30年と長い保険期間になるものが多いため、受け取るための準備のメンテナンスも重要な金融商品です。
いま一度見直し、整理、保管のチェックをしてみてはいかがでしょうか。

執筆者

山崎 浩志(ファイナンシャルプランナー)

兵庫県生まれ。1994年大学卒業後信用金庫へ入庫。富裕層向け資産運用アドバイス、法人経営コンサルティングなどの業務に従事。外資系金融機関を経て現在に至る。延べ3000世帯以上の保険・住宅ローン等お金にまつわるコンサルティングやリスクマネジメントを手掛けている。 商工会議所、中小企業中央会、大阪府学校生活協同組合等にて、金銭教育に関するセミナーも数多く行っており、その語り口は女性にも人気があり難しい金融の話もわかりやすく楽しく学べると好評。
■保持資格:トータル・ライフ・コンサルタント
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