医療保険の通院保障は必要?

医療保険

「ツーイン! ツーイン!」と呼びかける保険会社のコマーシャルをご覧になった方も多いのではないでしょうか。近年続々と各保険会社からリニューアルされている通院保障、その保障内容はどんなものなのか、実際に必要なものなのかどうか見ていきましょう。

医療保険の通院保障とは?

一般的な医療保険は、病気・ケガによる入院保障と、手術を受けた際に給付される手術保障が主な保障内容です。通院保障はこうした医療保険に、特約として付加することで保障を充実させるものです。

保障内容としては、病気やケガなどで入院し、退院後に病院へ通院した際に給付されるものが一般的です。
最近は入院前の通院も保障する保険も出てきていますが、やはり一度入院することが支払条件となっています。

また、他にも支払事由の条件として、以下のようなものが挙げられます。

  • ①入院日数 例:継続して5日以上入院 など
  • ②通院日数 例:1回の入院に対して30日までの通院 など
  • ③通院期間 例:退院日の翌日からその日を含めて120日間以内の間 など
  • ④通院理由 例:治療措置を伴わない薬剤の購入・受取りのみの場合は非該当 など

保険会社やご加入時期によって条件が異なる場合がありますので、詳しくは商品パンフレットや約款を確認しましょう。

通院保障の必要性

では、そもそも通院保障は必要なのでしょうか?
保険の加入を検討する際に念頭に置いておくべきことが二つあります。

一つ目は、医療保険に限らず、元々保険会社の商品は国の社会保障制度を補完することを目的に開発されているということです。

二つ目は、医療技術の進歩と、実際の医療現場の実態です。

以上を踏まえて考えてみると、従来は一度入院すればすぐに退院させられることは少なく、家に帰るくらいなら冷暖房の効いた病院でゆっくり過ごして退院、ということが多くありました。

しかし近年では、社会保障負担を減らしたい国の思惑と、医療技術の目覚ましい進歩により、入院日数は年々短くなり、退院後に通院、もしくは医師が自宅まで往診する、といったケースが増えています。

実際、入院期間が長期化しがちな精神病床と療養病床などを除いた一般病床の平均入院日数は、2002年は22.2日でしたが、2016年は16.2日と、14年間で6日間短くなっています。(厚生労働省:平成15年(2013)および平成28年(2016)医療施設(動態)調査・病院報告の概況より)

もちろん病気の種類や個々の症状によって異なりますが、総じて短期入院→通院の流れになっていることから、通院保障の必要性が高まっている、と言えるでしょう。

通院保障が必要かどうかの判断基準

とはいえ、通院保障が本当に必要かどうかは、どのように判断すれば良いのでしょう。

一般的に保険は家族構成と、預貯金などの資産状況、そして勤務先の福利厚生や仕事内容などによって保障の必要性が変わってきます。

まず、自分の働きが収入に直結する自営業やフリーランスの方、主夫や主婦でパートの方は加入しておいた方がご安心でしょう。

また、通院にはお金がかかるだけでなく、時間も割くことになります。小さいお子さんがいらっしゃるなど通院しにくいと感じる方でも、通院保障に加入していれば精神的負担を減らすことが出来ます。

もちろん保険料は通院保障を付けない場合に比べてアップしますので、加入せずにその分を貯金しておく、という考え方もあります。

これは保険全般に言えることですが、一定の預貯金が確保出来ていれば必ずしも必要ではありません。逆に預貯金が少ない方は、敢えて加入した方が良いかもしれません。

保険はつい損得の話になってしまうことも多いですが、そもそも安心出来なければ意味がないですから、各々の事情に合わせて加入を検討しましょう。

通院保障をつける場合、1日いくら必要?

通院時に支払う費用は、再診料・検査費・病理診断・薬代・交通費・・・など、多岐に渡ります。また、金額は病気によってかなり違いが出てきます。

かかった費用全額とは言わず、足しになればよいということであれば、日額3000円~5000円あれば再診料と交通費は賄えるでしょう。

ただし、退院後の治療費が高額になる病気もあります。代表的なものとしては、がん、そして糖尿病、腎臓病、高血圧などの生活習慣病、精神疾患などが挙げられます。いずれも検査費や薬代が高くなるケースが多いためです。

こうした病気がご不安であれば、別途がん保険や生活習慣病の診断一時金、就業不能保険など、他の保険と組み合わせて備えていただくことをお勧めします。

がん保険の通院保障の方が優先

先に述べたように退院後の治療費が高額になる病気は色々ありますが、生涯で2人に1人が罹患すると言われるがんについては、特にご不安を感じる方が多いと思います。

実際、国立がん研究センターの最新がん統計によると、生涯でがんに罹患する確率は、男性は62%、女性は47%となっており、決して他人事とは言えません。
(国立がん研究センター:https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

現在のがん治療の大きな柱は、手術治療・薬物療法(抗がん剤・ホルモン剤)・放射線治療の3つです。

手術治療については、一般的な医療保険で給付対象となっているため、給付を受けることが出来ますが、薬物療法と放射線治療については、抗がん剤の進歩や、副作用に対する治療が進歩してきたことから、はじめから外来・通院で行うことが多くなっています。

治療方法によっては、通院保障の特約を付加していないと給付対象とならないケースもあります。

加えて、生存率については多くの部位で上昇傾向にありますので(国立がん研究センター:https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/annual.html)、働きながら、自分や家族との時間を大切にしながら、数年に渡ってがんと向き合い治療することが増えています。

したがって、長く入院するのではなく、外来・通院での治療が主流となっているのは自然な流れと言えます。

通院保障には全ての病気・ケガを対象とした通院保障よりも保険料が低廉な、がん通院だけの保障もありますので、まずはこちらを優先して付加することを検討するのも良いかもしれません。

まとめ

最近では1日あたりいくら、という通院保障だけではなく、入院時や退院時にまとまった一時金を給付する保険も出てきています。こうした保険であれば、通院のための時間を無理に割く必要もなく、給付金請求のために領収書を保管しておく手間も省けるため、今後取り扱う保険会社が増えてきそうです。

また、治療が長期化し、通院することの多いがんでは、抗がん剤やホルモン剤、放射線治療など、特定の治療を受ける都度給付されるがん保険が主流になっています。

その他、三大疾病と呼ばれるがん・心疾患・脳血管疾患や、これに高血圧・糖尿病・腎臓病・肝臓病を加えた七大疾病で所定の状態に該当したときに一時金が受け取れる保険もあります。これらもすべて、退院後の通院治療費用を目的とした保険です。

新たな保険加入や見直しを検討する際には、従来の入院・手術だけではなく、退院後の治療を踏まえた保障も考慮しておきましょう。

なお、注意点としては、支払事由の条件が、新商品が発売される度に時代に合ったものに変わってきているので、加入してから10年前後経っている場合は保障内容のチェックをしていただくことをお勧めします。特にがん保険の通院保障は従来のタイプでは近年の治療実態に合っておらず、いざという時に使いづらいものになってしまっていることが多いので、注意が必要です。

執筆者

鷹尾 和哉(ファイナンシャルプランナー)

2000年大学卒業後、大手システム開発会社に入社しインターネットバンキングなどの開発に従事。自身のライフプランを立てたことがきっかけでFPの資格を取得、その後外資系保険会社に転職し、約300世帯のライフプランを任される。よりお客様に寄り添った提案がしたいと2012年に現職へ。家計や保険の見直し、相続、資産運用などの個人相談業務を数多く行っており、個別の資金計画がとてもわかりやすいと好評を得ている。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士AFP資格トータル・ライフ・コンサルタント
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