保険の「先進医療特約」とは

医療保険

医療保険やがん保険を検討する際によく耳にする「先進医療特約」。付けた方が良いのかどうか、どんな保障内容なのか、そもそも先進医療とは何なのか、見ていきましょう。

「先進医療」とは

〇〇大学で難病に対する画期的な治療方法が見つかった、△△製薬で新しい治療薬が開発された・・・など、医療技術の進歩を実感するニュースを目にする機会もあるかと思います。

先進医療とはこうした医療技術のうち、将来的に健康保険(公的医療保険)の給付対象とするかどうかを臨床の場で評価を行うことが必要と判断された、「厚生労働大臣が定めた高度な医療技術を用いた療養」のことを指します。

なお、健康保険の給付対象外となるため、技術料は全額患者の自己負担となります。

新たに開発された医療技術

先進医療はその言葉通り“先進的な”医療技術ですから、日々研究・開発が進められ、続々と新しい医療技術が生み出されています。新たに先進医療として追加されるものもあれば、健康保険の給付対象となることが決まって、先進医療から除外されるものもあります。

“先進”と付くと、とても効きそうなイメージが湧きますが、逆にまだまだ安全性や有効性を確認中の技術であるとも言えます。

先進医療の主な種類

先進医療は大きく2種類に分けられます。人体への影響が極めて少ないものが第2項先進医療【先進医療A】、効果などを重点的に観察する必要があり、適切な体制が整っていると厚生労働大臣に認められた病院でのみ実施できる第3項先進医療【先進医療B】です。

平成30年9月1日現在、先進医療Aは28種類、先進医療Bは65種類の全93種類となっています。

(厚生労働省ホームページ 先進医療の各技術の概要:https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan03.html

費用はどのくらい?

先に述べた通り全額患者の自己負担となりますが、医療技術の種類によって異なります。

検査や診断などの技術だと1件あたり1,000円前後から数万円ですが、治療や手術となると1件あたり数十万円から数百万円するものもあります。

第2項先進医療【先進医療A】で最も高いものはがんの重粒子線治療が1件あたり3,149,172円となっており、次いでがんの陽子線治療が1件あたり2,765,086円となっています。

(厚生労働省 平成29年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000192081.pdf

どこで受けられるの?

先進医療はどこでも治療が受けられるわけではなく、厚生労働省が認めた医療機関でのみ受けることが出来ます。

厚生労働省のホームページに先進医療を実施している医療機関の一覧が載っており、新しい医療機関が追加されるなど変更があれば随時更新されています。

https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html

がん保険の「先進医療特約」

がん保険に付加できる先進医療特約は、がん治療における先進医療だけが保障対象となります。そのため、他の病気で先進医療を受ける場合は給付対象とならないので注意が必要です。ちなみに、平成30年9月1日現在の全93種類の先進医療のうち約50種類ががんに関するものです。

日進月歩するがん治療

初めてがんが日本人の死亡原因の1位となったのは、1981年のことでした。以来、国を挙げてがん対策が進められています。

現在、がんを告知された方が示される治療方法は、手術療法・化学療法(抗がん剤治療)・放射線療法の3種類があり、三大治療とも呼ばれます。いずれも直接がんを標的にした治療法です。

これらに加えて、免疫療法も一般的になってきました。免疫療法は薬が直接がん細胞を攻撃するものではなく、もともと体内に備わっている患者自身の免疫の力を利用してがん細胞を攻撃するというものです。弱った免疫細胞を再活性化してがん細胞を退治する免疫チェックポイント阻害療法や、がんに対する攻撃力を高めるT細胞療法などが挙げられます。

また遺伝子解析の技術が進み、費用も抑えられるようになったことから、遺伝子レベルで個別の治療・予防を行うゲノム医療も広がっています。

治療の選択肢を残す「先進医療特約」

従来の治療で思うような効果が得られなかった時に、最後の砦となり得るのが先進医療です。先進医療特約を付けておくことで、金銭的な負担を軽減し、治療に専念できる環境作りに役立つでしょう。

「先進医療特約」を付けるときの注意点

先進医療特約の掛け金は、月々100円前後の保険会社がほとんどです。これに対して保障内容は先進医療にかかる技術料と同額となっているので、重粒子線治療のような自己負担額が300万円以上の治療を受ける場合を考えると、大変有用な特約と言えます。

しかし、厚生労働省の平成29年度の先進医療の実績報告によると、先進医療を受けた全患者数は32,984人、実施件数が0件の先進医療も16種類あったことから、受ける機会はそう多くないかもしれないことも念頭に置いておく必要があります。

また、厚生労働省指定の病院で治療を受けることが前提になりますので、近隣に該当の医療機関が無い可能性もあります。

最近の先進医療特約は、遠方での治療を想定して、交通費や宿泊費などに使える「先進医療一時金」が支払われるタイプも出てきています。さらに、通常の給付金はいったん患者が支払ってから保険会社に請求しますが、技術料が特に高額な治療を対象に、保険会社から医療機関へ直接先進医療給付金を支払う「直接支払いサービス」を設けている保険会社もあります。

先進医療特約の保障内容は各社似たものになってきていますので、ご加入の際にはこうしたプラスαの保障やサービスも確認しておきましょう。

まとめ

先進医療の技術数は追加・削除を繰り返しているため、毎年おおよそ100種類前後ですが、実施医療機関数は毎年増えており、平成25年度と平成29年度を比べると、約1.5倍になっています。また患者数も同期間で約1.6倍に増えています。

保険料に対する負担感はご契約者それぞれかと思いますが、今後も続々と新しい医療技術が生み出されるであろうことを想像すると、やはり付けておいた方が安心な特約のひとつと言えるでしょう。

出典:国立がん研究センター 厚生労働省 ホームページ

執筆者

鷹尾 和哉(ファイナンシャルプランナー)

2000年大学卒業後、大手システム開発会社に入社しインターネットバンキングなどの開発に従事。自身のライフプランを立てたことがきっかけでFPの資格を取得、その後外資系保険会社に転職し、約300世帯のライフプランを任される。よりお客様に寄り添った提案がしたいと2012年に現職へ。家計や保険の見直し、相続、資産運用などの個人相談業務を数多く行っており、個別の資金計画がとてもわかりやすいと好評を得ている。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士AFP資格トータル・ライフ・コンサルタント
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