医療保険はケガの保障にも使えるの?

医療保険

どうしても「病気」に対するもの、というイメージのある医療保険ですが、ケガをした場合にも保障はあるのでしょうか。今回は、ケガと医療保険の関係について、また傷害保険との違いを見ていきたいと思います。

医療保険の保障の範囲

現在、様々な保険会社で販売されている「医療保険」ですが、多くの場合、その基本保障は『入院』と『手術』になっています。

また、入院や手術を受けることになった原因別に見ると、病気だけでなく、ケガも保障の対象としているのが一般的です。

医療保険の保障範囲

  • 病気(疾病)を原因とする、治療を目的とした入院・手術費用の保障
  • 不慮の事故などによるケガ(災害)を原因とする、治療を目的とした入院・手術費用の保障

例えば「入院給付金」を見てみると、病気が原因のものを「疾病入院給付金」、不慮の事故などによるケガが原因のものを「災害入院給付金」と言い、並べて表示されているのが一般的です。

ただし、この2つを同時に受け取ることはできないことは覚えておきましょう。

ケガで入院している時に病気にもなり、その病気の治療を同時に行うことになっても、入院給付金をダブルで受け取ることはできません。

それでも、医療保険は病気の時だけでなく、ケガのために入院・手術が必要な場合にも給付金を受け取ることができるので、経済的に大きな助けになります。

似ているけれど違う「傷害保険」

一方、「傷害保険」とはどのような保険なのでしょうか。
医療保険と共通点もありますが決定的な違いがあります。

それは、傷害保険は文字通り、傷害(ケガ)の時に特化しており、病気による治療を補償していない点です。

傷害保険の補償範囲

  • 不慮の事故による傷害(ケガ)を原因とする入院・通院・手術費用の補償
  • 不慮の事故による死亡・後遺障害時の補償

傷害保険では、不慮の事故の定義として「急激」「偶然」「外来」の3つの要素が決められており、ケガの原因がこの3つの要素が重なった結果である場合に給付金が支払われます。

難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言うと「自分の意思とは関係なく、避けることのできなかった事故によりケガをした時」ということになります。

例を挙げれば、交通事故によるケガです。
もし故意に事故を起こしたり、故意にケガをしたと判断されたりする場合、当然ながら補償はされません。

また、医療保険にはない傷害保険の大きな特徴として、「後遺障害への補償」が挙げられます。
後遺障害とは、交通事故などが原因で、完治が見込めない状態のことを言います。

交通事故による「むちうち」や、重度なものでいうと「半身麻痺」などです。

保険会社によって補償内容が違うので、条件を必ずチェックしましょう。

傷害保険の種類

傷害保険にはいくつかの種類があり、それぞれの状況に応じて補償を受けることができます。

普通傷害保険

最も基本的な傷害保険で、国内外を問わず、家庭内や職場、通勤中や旅行中など日常生活でのケガを対象としています。

保険料は、職業によって異なり、事故の危険度が高い職業ほど高くなります。

交通事故傷害保険

交通事故によるケガのみを補償します。

対象となる乗り物は、電車・自動車・バイク・自転車などで、乗車中の事故はもちろん乗り物との衝突・接触などによるケガも対象です。

保険料は職業に関係なく一律です。

旅行傷害保険

国内旅行傷害保険と、海外旅行傷害保険に分けられます。

旅行を目的として家を出発してから、家に到着するまでのケガを補償します。(海外旅行傷害保険では、病気による治療費も補償するのが一般的です。)

併せて、飛行機の遅延や手荷物の紛失、旅行先で他人の物を壊した場合の賠償など、さまざまな損害に対する補償を選択し付け加えることができます。

保険料は、旅行日数によって異なります。

医療保険と傷害保険の違い

これまで見てきた通り、医療保険と傷害保険は内容が似ており、ケガをした時に給付金が受け取れるという点は共通しています。

では違いは何か、よく比較される「医療保険」と「普通傷害保険」の違いを整理しておきましょう。

保障(補償)範囲

医療保険は病気とケガを対象としていますが、普通傷害保険はケガのみを対象としています。

加入時の診査

医療保険は加入時に診査があり、健康状態についての告知義務があります。
告知内容によっては加入できなかったり、条件が付いたりする場合があります。

普通傷害保険には健康状態のチェックはありません。

保険料

医療保険は、加入時の年齢と性別によって保険料が変わります。

一方、普通傷害保険の保険料は多くの保険会社で、69歳以下なら年齢に関わらず同じです。

医療保険のケガ特約

いくつかの保険会社の商品では、医療保険に「ケガの特約(オプション)」を付けることができます。
これは、不慮の事故によってケガをした場合、一定額が給付される保障です。

例えば「特定損傷給付金」などの名前が付いており、多くの場合、入院の有無を問わず、骨折や関節脱臼、腱の断裂などのケガを負った場合に、給付金を受け取ることができます。

入院や手術を必要としないケガでも、骨折などの場合は通院や自宅療養などのために仕事を休んだり、場合によってはタクシー移動などで交通費がかかったりするケースもあるでしょう。

そんな時に給付金を受け取れるのはうれしいオプションですね。ぜひチェックしましょう。

まとめ

さて、ここまで医療保険と傷害保険の保障内容の違いや、特にケガへの備えについて解説してきました。

突然の病気やケガで治療が必要となったとき、入院・手術・通院によって予想以上に経済的負担が大きくなるケースがあります。

そのような不安を解消してくれるのが、医療保険や傷害保険です。

それぞれのメリット・デメリットを確認した上で、どの保険を選択するのが自分や家族にとってベストなのか、また保険料を支払っていく意味があるのか判断しましょう。

執筆者

宮脇 英寿CFP®資格

中学高校の数学教師を経てファイナンシャルプランナーの道へ。「100歳まで元気に生きるためのライフプランニング」が独身者、家族世帯を問わず好評である。年間100世帯以上の個別相談に対応しながら、確定拠出年金や住宅ローン、ねんきん定期便の見かた等各種セミナー講師も担当。プライベートでは小・中・高校生の3人の子どもの子育て中である。
■保持資格:CFP®資格住宅ローンアドバイザー宅地建物取引士
この執筆者の記事一覧
プロフェッショナルの
ファイナンシャル・プランナーに

無料保険相談!
ほけんペディアを運営する、アイ・ティ・コンサルティング(ITC)は、
国家資格をもった50名以上のファイナンシャルプランナーで構成する保険技術者集団であり、
ファイナンシャルコンサルティングを基本手法とする独立系保険代理店です。
保険のことでお困りのことがありましたら、
お気軽にご相談ください。