がん保険の「先進医療保障」は必要か?

がん保険

2018年のノーベル医学生理学賞は、京都大学の本庶佑特別教授に授与されました。免疫細胞の表面に免疫反応を弱める分子があることを発見した研究に対しての受賞ですが、この研究成果は最近開発が目覚ましい「抗体医薬」に活用され、がん治療の新しい選択肢として脚光を浴びています。このようにがんの治療はますます多様化しています。

皆さんも、がん治療において「先進医療」という言葉を聞かれたことはないでしょうか?今回は先進医療とはどのようなものなのか、保険の先進医療保障は必要なのかといった点について考えていきましょう。

先進医療とは

まず、先進医療とはどのような医療なのでしょうか。厚生労働省のホームページには次のように書かれています。

”先進医療は、健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)において、「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養」として、厚生労働大臣が定める「評価療養」の1つとされています。”

…なんだか分かったような、分からないような説明ですね。名前の通り、最新の医療技術であることは分かりますよね。そこで皆さんには以下の点を押さえてほしいと思います。

「この治療は保険が効くの?」といった会話をたまに耳にしますが、保険が効くというのは、公的医療保険(健康保険)を用いて3割負担で受けることができる「保険診療」のことです。

保険が効かないものは「自由診療」と呼ばれます。

現在の日本の医療制度では、「保険診療」と「自由診療」を組み合わせて行う「混合診療」は原則として認められていません。

組み合わせた場合、通常の保険診療についても全額自己負担となります(下図「自由診療」を参照)。

しかし、混合診療にも例外があります。

それが「先進医療」です。先進医療に対する費用は全額自己負担となりますが、それまでに受けた診察・検査などの保険診療部分は3割負担で済みます(下図「先進医療」参照)。

なお、先進医療については注意すべき点があります。

対象となる療養は厚生労働省によって定期的に見直されます、現段階で先進医療の対象となっていても、期待された治療効果が無いと判断され対象から外れてしまうものもあります。

一方、十分な治療効果が認められ、保険診療の対象(3割負担)に加えられるものもあるのです。

がん治療の先進医療について

がん治療における先進医療にはどのようなものがあるのでしょうか。

比較的知られている療養として「重粒子線治療」「陽子線治療」があります。これらは一般診療でも行われている放射線治療の進化版と言えます。

エックス線・ガンマ線といった従来の放射線は「光子線」といって、人の体に照射した場合、体の表面で最も多くの線量が当たり、体の中に進むにつれて線量が落ちていきます。

叩きたいがん細胞に届く前にパワーが落ち、そこに届くまでの正常な細胞を傷つけてしまうという弱点があります。

対して重粒子線・陽子線は「粒子線」といって、狙ったがん細胞の所で線量が最大になるようにコントロールできるという特徴があります。

それゆえ、効果的にがん細胞を狙って叩くことができ、正常細胞を傷つけることも少なくて済むという利点があるのです。

他にもいくつかのがん治療がありますが、先進医療に指定されている療法とその技術的な概要、対象となるがんや実施している病院などを紹介している『先進医療情報サイト』(http://senshiniryo.org/index.php)なども参考にしてみてください。

先進医療を受けられる場所は?

先進医療はどこの病院でも受けられるというものではありません。療養ごとに受診できる医療機関が定められています。

先ほどの『先進医療情報サイト』でも調べることができますし、厚生労働省のホームページには先進医療を実施している医療機関の一覧が掲載されていますのでご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html

先進医療の費用はどのぐらい?

さて、先進医療にかかる費用はいったいどれぐらいになるのでしょうか。

先ほど例としてあげた重粒子線治療や陽子線治療は1回あたり300万円ほどの費用がかかります。

肺がんに対するNKT細胞を用いた免疫療法(NKT細胞はがん細胞やがん抗原の発現にかかわる細胞を攻撃する免疫細胞のこと)には平均で180万円ほどがかかります。

全般的に高額な費用がかかりますね。

療養によって費用は様々ですので、実際には実施する医療機関への問い合わせが必要です。

参考情報として生命保険文化センターのホームページに代表的な先進医療にかかった費用や入院日数、年間の実施件数などがまとめられていますので紹介しておきます。

http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/medical/12.html

「先進医療保障」の必要性

それでは、がん保険の検討に当たり「先進医療保障」は必要なのだろうか?と迷ってしまいますよね。

先進医療に対して通算で2,000万円まで給付するという内容が一般的ですが、ほとんどの保険会社で保険料は月額100~200円程度です。

私は特約にかかるコスト(保険料)は少額なので、もしもの時に有効な先進医療を受けられる選択肢をもつことができることは大きなメリットになると思います。

なお、先進医療保障を検討する場合に注意すべき点は以下のようなことがあります。

がん保険に「先進医療特約」を付けるべきなのか?

多くの方はがん保険だけでなく、医療保険にも加入されると思います。

がん保険の特約では、がんの治療にかかわる先進医療だけが給付金支払いの対象ですが、医療保険の特約は全ての先進医療が対象になります。

両方を加入される場合は、医療保険に特約を付加されることをお勧めします。(医療保険には先進医療に対する給付が主契約に含まれているものもあります)

先進医療特約には保険期間が「終身」のものと「10年更新」のものがある

保険会社によって保険期間の設定が異なります。終身と10年更新で保険料に大きな差は出ません。

よって終身の方が今後の保険料アップなどを考慮すると魅力的かもしれません。

まとめ

以上、先進医療について説明をしてきましたがご理解いただけましたでしょうか。

保険を検討する場合には、多種多様な特約が本当に必要なのかを見極める必要があります。

その意味では今回のように「先進医療ってどんなものなの」ということを知ることが大切ですね。

最後に、先進医療は選択肢としてとても魅力的ですが、受けるためには医師が必要性と合理性を認めることが条件となります。

その意味ではセカンドオピニオンも重要になると思います。生命保険にはセカンドオピニオンを調整してくれるサービスを提供している会社もあります。

加入を検討される時は、保障の内容とともにそのようなサービスについてもプロの意見を聞いてみてはいかがでしょうか。

執筆者

速水 秀樹(ファイナンシャルプランナー)

1996年大学卒業後、繊維・化学メーカーに就職。ライフサイエンス関係の商品を海外展開する職務に従事。その頃「将来は海外での生活」を夢見るが、実母と祖母のダブル介護に直面し、サラリーマン生活に終止符。この時大きな人生の岐路に立ち、ライフプランニングと出会う。その重要性に気付き、自身がファイナンシャルプランナーへ。介護の経験、豊富な知識を生かし「お客様に誠実に寄り添い、本当の声を聴く」をモットーに活動中である。学生時代から登山が趣味。山登りで学ぶ先を読む力が、相談業務にも生かされている。執筆は、介護に関する記事も。
■保持資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士AFP資格
この執筆者の記事一覧
プロフェッショナルの
ファイナンシャル・プランナーに

無料保険相談!
ほけんペディアを運営する、アイ・ティ・コンサルティング(ITC)は、
国家資格をもった50名以上のファイナンシャルプランナーで構成する保険技術者集団であり、
ファイナンシャルコンサルティングを基本手法とする独立系保険代理店です。
保険のことでお困りのことがありましたら、
お気軽にご相談ください。